法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『週刊文春』の4月26日号で、金正恩と木嶋佳苗の共通項を「人相」で判断していた

病院の待合室でバックナンバーを読んでいて見つけた。
わずか見開き2ページの記事だが、特筆して批判したくなるほどひどい。やはりというか、探してみると先に同様の批判を行っている人がいた。*1
http://ameblo.jp/taka4282/entry-11227903051.html

確かに2人は似ていると言えば似ているが、本文では最後に「一国の元首と殺人犯を並べて似ているなんて、不謹慎だったですかね」としている。


不謹慎である。

殺人犯?
確かに極めて黒に近く、死刑判決が出たがまだ推定無罪の段階である。

私個人も、政治家の顔が揶揄の対象にされることこそ許容されても*2、控訴中の被告人をこのような記事にしたてるべきではないと思った。たとえ有罪が確定したとしても、犯罪者の個人情報を揶揄のために利用することが、公共の利益にかなう報道とはとうていいいがたい。
また、顔の美醜が話題にされるだけなら、まだいい。いや良くはないが、週刊誌らしいと理解はできる。編集部は、生え際や耳の形で性格をうんぬんすること自体に問題を感じなかったのだろうか。ロンブローゾの骨相学かよ、シャーロック=ホームズ最大の恥部かよ、と嫌な歴史を思い出した。


そもそも『週刊文春』も下品な記事が載ることは多いが、このグラビアがどのような読者層に向けているのか、さっぱり見当がつかなかった。それぞれ安易な叩き対象として選ばれたことは確かだろうが、喜んで読む人がいるのだろうか。
そこでコメントを求められた「顔相鑑定士」のブログを見つけると、以前から様々な媒体で仕事をしているようだ。
ミサイル失敗と死刑判決(人相で見る)金正恩と木嶋佳苗の“共通項” @『週刊文春』 | 顔相鑑定士・顔研究家・顔面評論家:池袋絵意知 公式ブログ

私は巻頭モノクログラビアCATCH UPのコーナーで、北朝鮮金正恩氏と木嶋佳苗被告の顔相について見開き2ページでコメントしています。


新聞からスタートの総合メディア系版元では、毎日新聞社の『サンデー毎日』、フジサンケイグループ・扶桑社の『SPA!』ではよくコメントさせていただいていて、朝日新聞出版の『AERAアエラ)』でのコメントもあるのですが、出発からスタートの総合週刊誌ベスト4『週刊文春』(文藝春秋)、『週刊新潮』(新潮社)、『週刊現代』(講談社)、『週刊ポスト』(小学館)でコメントさせていただくのは今回の『週刊文春』(文藝春秋)が初です。

もちろん、他の雑誌においても『週刊文春』と同じような「鑑定」を行っているのか、真実性を保障しない占い程度にとどめているのかははっきりしない。だが、こうしたオカルトを無批判に広く受容している社会の極北として、『週刊文春』のような記事が生まれたのだという注意は必要だろう。

*1:http://twitter.com/#!/hidetomitanaka/status/193567418612842496こちらの、それなりに著名な経済専門家田中秀臣氏が「一興」などと片づけるツイートも見つけてしまったが。なお、ツイートを向けられている豊崎由美氏は返答せず、裁判自体についても有罪判決への違和感を表明している。http://twitter.com/#!/toyozakishatyou/status/193949922024894464

*2:むろん批判の声があるのも当然だろうが。