法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』クイズは地球をめぐる/屋根裏のピーマン畑

今回は原作を別角度でアレンジした二作品。


Aパートはしのみやすゆきでおおむね原作通り、秘密道具と理科知識と体を駆使して回答しないとならないクイズが出題される。正解すれば金メダル、間違えれば電気ショック。
わりと短くシンプルな話なのでクイズの量を増やすかと思えば、原作では冒頭だけ登場していたジャイアンが途中から参加。原作以上にメチャクチャな回答をしつつ、のび太と協力したり衝突したり。
キャラクターの漫才要素が増えたかわりに、理科クイズをビジュアルで表現するという原作のプリミティブなSF性は後退してしまったのが残念。原作では意外とレギュラーキャラクターが登場しない回も多くて、アニメ版ではレギュラーの出番を後付けすることが多いのは慣例だけどね。


Bパートは今回も善総一郎コンテ。こちらは原作で稲や芋を育てていた「日曜農業セット」の「ピーマンバージョン」が登場。
原作で初登場した「タタミのたんぼ」だと部屋を泥だらけにしつつ楽しんでいたが、こちらはママに怒られたので屋根裏で。ちょっと狭い秘密基地っぽい空間で、種から苗を育て、畝を作って植えていく風景は、実に楽しげで心おどる。
しかし実がピーマンの形になったため嫌悪感を思い出し*1のび太は逃げ出してしまう。天井裏だけあって鼠が出たり害虫が発生する中、一人で奮闘するドラえもんだが、ついに倒れてしまう。ここで逃げていたのび太が帰還。共同で農作業を続けることにする。
こちらは農業の楽しさ苦しさをしっかり描いた上で、その一環として主人公の逃走と帰還を描いていて、Aパートと違ってアレンジによって失われた要素がない。うねりを加えた、いい物語だったと思う。
ただ、蝶が登場するのが季節感のためと説明するだけなのは残念だった。屋根裏では蝶がいなければ受粉できず、ピーマンの収穫が難しくなるという科学考証が背景にあるはず。映像を見れば受粉のためと意図して設定しているらしいとわかるわけだが、だからこそドラえもんの台詞で後々で必要になると説明してほしかった。


番組最後の映画紹介コーナーは「ぜつめつ動物に会いに行こう!」が開始。応援隊長の子役である鈴木福がアニメ内に入り込んで絶滅動物の知識をえるという趣向。
正直、生身の鈴木福演技は演技させられている感が画面からあふれているので、アニメにアフレコする方が見やすかった。

*1:動植物を擬人化する秘密道具「ファンタグラス」を使って、ここで嫌悪感が増す経過を描きつつ、可愛すぎて食べられなくなるというオチへつなげていた。