法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

まーた「まりたん日記」が粗雑な認識を

広島市被爆語り部の後継者養成を始めたという記事に対して、「まりたん日記」が下記のように懐疑するコメントを出していた。

ヤバいのは「ネタ」ではなく、[twitter:@Col_AYABE]氏の力量にあるのだと思う。
まりたん日記 » 2012 » 1月 » 4*1

まりたん
気をつけ! まりたんだ!

日本にはこんな?伝統芸能?があるんだな!

地域・写真ニュース | 中国新聞アルファ
 広島市は2012年度から、被爆者の体験証言を伝承する次世代の「語り部」の養成に着手する。(中略)体験を語る被爆者がさらに高齢化する将来を見据え、被爆者の思いを深く理解し、証言活動を受け継ぐ人材を育てる。(中略)特定の被爆者に付いて証言活動そのものを学ぶ。体験を聞いて覚えるだけでなく、行動を共にしたりしながら本人の深い思いや話し方を含めて理解する(以下略)

(じえいたん)
証言を残すのではなく
?思いや話し方を??


こういうのは本人だからこそ正確な体験談が語れるものなのでは…??

あまりにも素朴すぎる疑問だ。被曝語り部の養成という政策の正否は別として、共同体として記憶を継承していくことと、証言を記録し活用することの差異が理解できていない。
たとえばドキュメンタリーで証言をナレーターが読み上げることにも懐疑するのだろうか。記事中にも「市内に住む被爆者の平均年齢は昨年より0・68歳高い76・96歳と高齢化が進んでいる」とあるように、本人が体験談を続けることが困難になっていく未来を見すえた政策だ。
記憶の継承自体も最近に始まったことではなく、たとえば2004年にも下記のような赤旗記事がある。
「被爆の語り部」若い世代に/“平和の案内人”にと研修やシンポ

 流れる汗をぬぐいながら交互に語り、お互いの説明を補うのは大中伸一さん(54)と徳永聖(さとし)さん(44)。ともに被爆二世、語り部としての活動はそれぞれ二十年、十年を超えます。

 碑めぐりの案内人「ピースナビゲーター」を養成する講座のフィールドワークです。三年前、被爆体験の継承を重点課題に結成された広島県被爆二・三世の会(尾野進会長)が今年四月から取り組んでいるものです。

 「被爆体験のない世代が追体験として譲り渡す運動を草の根から展開していきたい」と抱負を語る大中さん。語り部として十八年になる金子理事長(78)は「被爆者はいつの日にかいなくなる。困難はあろうとも、平和な社会を展望し語り継いでほしい。二十一世紀の未来は君たちのものです」と期待を寄せています。

戦争体験者の遺族が活動することにも「まりたん日記」は懐疑を向けるのだろうか……と思っていたら、予想外な方向へかけあいを発展させていった。

(みけ大佐)
おおー!
日本でも戦争体験証言の後継者育成がはじまったであるか!


(じえいたん)
「日本でも」…って
どこかやっている国があるんですか?


(みけ大佐)
近くにあるではないか
お隣の国じゃあ、戦後生まれだが証言をしている従軍慰――


(じえいたん)
わーーー!!!!


(ねいびーさん)
年明け早々、ギリギリのネタね…

どちらかといえば従軍慰安婦問題について追求する立場にある「合衆国海軍少佐」という設定の「ねいびーさん」がなぜ「ギリギリのネタ」と評するだけなのか、「戦後生まれだが証言をしている従軍慰――」を誰が「育成」しているのか、そもそも戦後生まれの証言とは誰のどのような証言を指しているのか、さっぱりわからない。
ちなみに過去の日記では、番組改編事件の当事者として訴訟を起こしていた「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」への日経新聞局員誹謗メール報道に対して、下記のような論評を行っていた。
まりたん日記 » 2008 » 7月 » 5

〜(記事つづき)
 「ばか者」などのほか、「報道ってのは取材先の嫌なこともちゃんと中立的に伝えるのが役目なんだよ。なんであんたがたの偏向したイデオロギーを公共の電波が垂れ流さなきゃいけないんだよ」などと書かれていた。

(ねいびーさん)
ま、言っていることは正しいのだけどね

本人の証言を絶対視することと、当事者の主張を「偏向したイデオロギー」と評価した過去と、整合性はとれるのだろうか。
いずれにせよ、体験談と証言を混同していなければ出てきようがない「ネタ」だろう。仮に、従軍慰安婦について正確な証言を求めるというなら、たとえば中曽根康弘元首相が慰安所証言についてごまかしていることでも追求するべきだ。
http://www.asahi.com/national/update/1101/OSK201110310228.html
仮にも日本海軍元士官であり元首相だ。従軍慰安婦問題の全体像を書き換えるような重大性を持つとも思えない「戦後生まれ」より、よほど社会的な影響力と責任を持つ立場だろう。

*1:記事引用部分に引用枠を足し、文字拡大を太字強調へ変更。キャラクターアイコンは引用せず、かわりに台詞の冒頭へキャラクター名をカッコ内で示した。