第11回は第10回と映像リソースはほとんど同じで、物語も延長線上にある。ただし一面の雪景色に変わって風景が一変したこと、ストップモーションの多様で映像上の変化をつけていた。
第12回は重い陸戦の終焉を描写する前半と、海戦への火蓋が切られる後半とで、綺麗にわかれた構成だった。ひさしぶりに陸海で戦う兄弟が主人公と感じさせる。
前半は、主人公側があえて馬を降りて壕の中から射撃し、ロシア軍の騎兵隊が襲いくるという逆転の構図が面白い。画面を埋めつくすほどの外国人乗馬スタントという映像が圧倒的で、穴に隠れた日本兵へ剣をふるうしぐさから、落馬するスタントまで、なかなか画面が多彩で見所あった。
後半は、バルチック艦隊が対馬海峡と津軽海峡のどちらを通るかわからないまま、じりじりした時間経過が描かれる。史実を知っている視聴者としても、焦れて衝突していく主人公達の姿に抑圧を感じ、良い演技と演出だと思った。結局は日本は賭けに勝ったわけで、そのためこんだストレスを一気に解放するカタルシスは相当なもの。それだけも良いのに、艦隊船の発端まで描いたこと、そのVFXも素晴らしかった。東郷ターンで複数の艦が攻撃を受ける俯瞰情景もリアリティあり、艦首を波が洗う面倒な描写も恐れずVFXで見せ、しかも成功している。そして出航時に石炭を捨てたり甲板に砂を撒いておく人間側の芝居も、VFXで作られた艦隊のリアリティを底から支えている*1。
そして第12回は前後半ともに日本側の作戦を評価しているようでいて、どちらも実際は幸運に助けられただけというところが描かれていたところが興味深い。ナレーションで太平洋戦争の無謀さが言及されたように、勝利した日露戦争が今後の暗黒時代へ続いていることを暗示するような内容と、明確に見てとれる。