法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』おぼっちゃマンボ/うそつきかがみ

企画物なアニメオリジナルの前半と、原作初期を比較的忠実にアニメ化した後半と。


Aパートは、アイドルのプロデューサーを見たジャイアンが、誰かをプロデュースしようと名乗りをあげる。時期的にはAKB48なのだろうが、作曲まで手がけるところはハロプロっぽい。
プロデュースさせればジャイアン自身の歌を聞かなくてすむという策略と、歌手として求められた時に高い自己評価を口走ってしまってプロデュース対象に選ばれてしまう自己愛ぶりが、いかにもスネ夫らしいので、アニメオリジナル展開でも違和感が少ない。
以降の展開は延々とスネ夫の歌を流し、当のジャイアンが嫉妬して台無しになるというシンプルさ。しかし歌を作品内外へアピールするため主題歌にのせてビラ配りや観客動員を無音で描く演出があったり、結末からシームレスに番組サイトの特設ページへ案内したり、企画物の制約を逆手にとった珍しい演出が多くて、わりと楽しめた。


Bパートは原作でも一二を争う、絵的にシュールな内容。しかし原作では描線の線質まで変えて劇画っぽくしていたのだから、アニメでも色指定を変えたりワカメ影*1にしたり、もっと現代風のアニメを思わせるキャラクターデザインに変えてほしかったな。
あと、原作では鏡台の鏡を割る展開のために、ドラえもんが前振りなくボーリングをするという意味不明な描写があるのだが、今回のアニメではのび太ととっくみあいして割るという自然な内容に。……しかし今回のようなギャグ全開の話なら、不自然な描写のままでも良かったと思うな。

*1:主に80年代に流行した、メカニック等の金属光沢や影を曲線で表現した作画技法。