まずは作品全体の感想となるが、貝澤演出や冨田原画といった、個人技に見所を支えてもらっていたシリーズだった。それを象徴するような最終回だった。とにもかくにも冨田与四一原画の力による勢いで押し切った、押し切ることができてしまった最終回だった。
ただ、作画だけが良くてもつまらない作品はある。物語面を見れば、中盤の一区切りで地球上の戦いが行われた展開をここにきて拾ったり、最終決戦でデジタル技術による無数デジモンとのデジクロスを表現しつつ怪獣映画的なコンテで楽しませてくれたり……御都合主義な場面も多かったが作画以外の面白味もそこここにあった。死んだキャラクターの復活劇も好きではないのだが、敵の目的を主人公が意図せずはたしたためという説明で、この作品内ではそこそこ整合性ある内容となっている。
大満足というわけではないが、これまで描いてきた物語の延長線で、大きく踏み外すことなくまとめてくれたと思う。
さて、成功しているとは思いがたい商品展開や、枠移動に苦しめられた作品だとは思うが、それを超えるほど作品本体の完成度が高かったともいいがたい。
出来の高低差がTVアニメらしい先の見えなさを作って楽しませてくれたものの、スタッフが固定されていたため嬉しい驚きを味わえるところまではいかなかった。
シリーズ構成の三条陸脚本が意外と少なくて、あまり米村正二脚本回との連携ができていないように感じたり、細かい違和感ある描写をフォローすることに手間取っているようでもあったり、なかなか突き抜けてくれなかったのが残念。