法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

高校日本史の授業でハングルを教えていた教師が県教委から指導された報道について

一般論として、日本史を学ぶ際に深く関連する言語を学べば便利とはいえる。
たとえば名古屋大学教養教育院の朝鮮・韓国語ガイダンスでは、関係が深い専門分野に「日本史」の名もあげられ、必須でこそないが「有用」と説明されている。
–¼ŒÃ‰®‘åŠw‹³—{‹³ˆç‰@F’©‘NEŠØ‘Œê‰È

朝鮮・韓国語と関係の深い専門分野としては、考古学、日本史、東洋史、東洋哲学、経済学、政治学、国際関係学、言語学などがあります。これらの分野を専攻したい人にとって、朝鮮・韓国語の知識が必須というわけではありませんが、身につけておけば有用でしょう。

むろんハングルを高校日本史で使う機会は少ないだろうとは思うが、日本が朝鮮半島を植民地化した歴史にからんでふれる機会と意義がある文字とはいえよう。身近に感じる方法論として、大きな誤りとは思えない。
それでも件の教師は県教委から指導を受けた。学生の興味を引こうとする工夫を排除し、無味乾燥な授業風景を県教委が望むというなら、私からは何もいえない。自由社育鵬社の歴史教科書を採用したがる側が、よく「生徒が意欲的に取り組める内容」*1といった評価を根拠にしていることを思い出して、皮肉という感想を持つだけだ。


しかし話はハングルを一コマ教えたということにとどまらなかった。別の指導も受けていたという産経新聞記事に首をかしげた。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110825/edc11082502070000-n1.htm

教諭はこのほか、「関東大震災のさいに起きた朝鮮人虐殺現場」を見学するよう企画し、生徒に参加を募っていたことも判明。県教委はこれも指導対象とした。

その結果、この教諭は日本史の授業でハングルを教えた以外にも夏休みに希望する生徒を対象に行う「夏期講習」の一環で「関東大震災時に起きた朝鮮人虐殺の現場」の見学を校外学習として企画。参加者を募っていたことも分かった。

現場の見学などは学習指導要領にはないにしても、関東大震災朝鮮人らが虐殺されたのは日本史の範疇だろう。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110825/edc11082502070000-n2.htm

校外学習については希望生徒がおらず、実施しなかったが「歴史事象に対して多様な考え方がある中で、一方的な解釈は望ましくない」として、いずれも校長に対し口頭で指導した。

関東大震災朝鮮人らが虐殺されたという通説は、さすがに非専門家でも否定論者は多くないと思っていたのだが……むしろ指導した県教委側が「一方的」と解釈した根拠の「多様な考え方」を知りたいところだ。