法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

「月収6万円の底辺アニメーターでした。女性は業界に留まれない」の感想の感想

半年間だけ仕事とした経験と周囲からの伝聞で業界全体に対する批判を展開した部分は、income60000氏に問題があったことは確かだと思う。伏字にした作品名や、倒産した制作会社*1という主張から、どこで仕事していたかの見当がつくのも微妙に感じる。
【月収6万円の底辺アニメーターでした。女性は業界に留まれない】のまとめって、実際のところはどうなの? - Togetter
しかし、自分の経験とは異なるという理由で、かなり名のあるアニメスタッフが否定してしまうのは、それはそれで良くないとも思う。平均ではない例外的な事例でも、だからこそ例外を作らないための認識は必要だ。
実際、income60000氏の主張は極端な事例もしくは捏造*2にしても、状況によっては局所的にありうることが上記Togetterからもうかがえてしまう。

たとえばセクハラについては上記のような話も。批判が集中している「成功している女性原画マンさんは、大抵が監督クラスの男性と結婚しています」*3という主張も、そうした噂を先輩アニメーターに吹き込まれたこと自体がセクハラの一種という面でも考えるべきではないかと思う。

また、月収についての話も、能力の問題と指摘していたはずのアニメーターが、事例として否定しきれなくなっている様子もある。

どちらかといえば、個人事業主としてあつかわれることが多いフリーの職業として、最低限の保護からとりこぼされる問題と考えるべきなのだろうか。


ついでに、アニメ労働問題資料紹介のエントリを示しておく。
東映・動画・手塚・労働・運動・りんたろう - 法華狼の日記
手塚治虫のアニメ・ダンピング - 法華狼の日記

*1:今はない会社という設定が、嘘をとりつくろうためという可能性もある。説得力を高める設定とも考えうる。しかし、言及されたアニメーターへ通知し、匿名での応答を求めているあたり、全く信頼できないということもないかな。

*2:原画の単価は1カットごとが通例ということは私も知っていた。

*3:http://logsoku.com/thread/hibari.2ch.net/news4vip/1310379975/もちろん、結婚していることが縁故採用ということを証立てないし、素人目にも能力が充分に高い女性アニメーターは数多いと思うが。