明治日本の「近代化」とは「西欧化」のことであったというナレーションが地味にいい。
物語の基本は外国人と日本人の許されざる恋といったところだが、古典的な甘酸っぱいラブコメを真面目なフェイクドキュメンタリーとして提示しているため、身悶えしながら爆笑するという得がたい経験ができた。
特に、引き離される前に思い出の写真を撮ろうと決意するまではいいのだが、感光に30秒がかかるという当時の写真技術を紹介するためタイムリミットサスペンス仕立てになっている上、写真機の前に立つ男女の脇に残り秒数を示すデジタル数字が点滅という演出には、シリアスな笑いをクライマックスに持ってくる制作者のセンスに驚くしかなかった*1。
いや、再会するため商館へ潜入する要として英語能力が意味をなす中盤は普通にサスペンスフルだったし、さんざん笑わせて甘くしたラストに切ない後日談を淡々と伝える結末とか、ドラマとしての骨格はきちんとしていたけどね。
*1:脚本と演出は中尾浩之がシリーズを通して一人で手がけている。