法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『TIGER & BUNNY』#12 Take heed of the snake in the grass.(草の中にいる蛇に用心せよ)

期待していただけにイマイチ。見所が散漫で、思い切りが足りない。
敵が持ちかけてきた一対一の「ゲーム」を見せたいなら各ヒーローのバトルをじっくり描くべきだし*1、敵の手の上で転がされ仲間と衝突しながらあがく姿を描きたいなら、前振りのない「ゲーム」は御都合主義。「ゲーム」に隠された目的*2があるなら、ただヒーロー側もゲームに乗るだけでなくて敵の意図を考察する描写がほしい。
キャラクター物としての楽しみも薄かった。特に、虎徹がバーナビーと再び衝突する重要な展開があるのに、一つの失敗ですまされてしまった。#11での、虎徹の無神経な演技にブルーローズが怒ったような、説明描写の前ふりとして自分自身をごまかしつつ他キャラクターの見解描写を引き出すといった、二重三重に意図がこめられているような場面がほとんどない。重要人物の円卓会議も、責任転嫁にはしる市長やヒーロー達の責任者だけでなく、他の出席者に見せ場を用意してほしかったところ*3


3DCGキャラクターと手描き作画によるフィールド破壊を組み合わせたアクション描写は良かったし、使えないどころか人質として足を引っぱりかねない手下をあっさり切り捨てた敵のキャラクター性はそそりたっていたが、既存のキャラクターは状況へ受動的に対応するばかりで物語を牽引できなかった。

*1:順番通りにヒーローが敵に立ち向かっては同じような攻撃で吹き飛ばされる展開がくりかえされ、最後は単調にすら感じた。

*2:敵の能力が、実は一対一でないと使いにくいという説を見かけたが、かなりの説得力を感じた。

*3:活躍する必要はない。たとえば眼前に現れた敵へ怒りをぶつけ、あっさり惨殺されることで物語の緊張感を高めるだけでもいいのだ。