法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』

日曜洋画劇場のノーカット放映で視聴。堤幸彦監督。
いかにも堤監督らしくTVドラマの延長みたいな絵作りで、場面ごとのギャグばかり優先して*1、確固とした物語の舞台を築けていない。
事件を解明するパートで延々と犯人が独白する場面も長すぎる。犯人の顛末も、あたかも周囲の人間が存在しないかのように、使い古された展開をとってつけられても苦笑するしかない。


しかし本格ミステリとして見れば、風習にもとづいたワンアイディアを核にして、残酷な真相を絵として成り立たせ、光るものも感じた。トリック自体は下手にあつかうと失笑を招く古臭さだが*2、うまく展開して皮肉さを増している。
犯人が素早く移動したトリックも、楽屋オチ的で伏線もない代物ではあったが、個人的には好きな部類。冒頭で言及されたフーディーニの逸話も、犯人の動機と深くかかわっていて好感を持てた。
ただしノーカットで見るにはアイデアが少なすぎて間延びしているので、2時間ドラマとして短く切りつめていれば、なお良かったかな。

*1:しかも笑えない。

*2:思い返してみると、初代のTVドラマ『TRICK』でも使用されていた。