大野木寛脚本、鈴木孝義コンテ演出、嶋津郁雄作画監督の、メインローテーションスタッフによるアニメオリジナルストーリー。
ジャイアンの歌を素晴らしいと感じる少女たか子と、たか子に高飛び競技へ挑戦する勇気を与えようと新曲を作るジャイアン。ちなみに、ジャイアンの歌を気にいる美少女が登場する物語は、かなり前のアニメオリジナル映画『ドラえもん のび太の南海大冒険』で登場しているので、リニューアル後が初というわけではない。
まず、ジャイアンが新曲を作るという企画自体は否定しないが、新しくファンクラブを結成する展開には大きな疑問符がつく。
なぜなら、今回に登場した秘密道具「ファンクラブ結成バッジ」を使ってファンクラブを作る回「フィーバー!! ジャイアンF・C」が原作にあり、しかもそのファンクラブ結成の後日談を描いた回「ジャイアンへのホットなレター」も原作にあるからだ。しかも「フィーバー!! ジャイアンF・C」はリニューアル後の近年にも一度アニメ化されている。
http://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/contents/topics/backnumber/0004/top.html
つまり今回の新たにファンクラブを作るという展開は、以前の回を忘れたものとしか思えない。以前にもファンクラブを作ったことを言及し、改めて結成しなおすという展開ならば、逆に原作回との繋がりも増しただろうに。
絵画の額に似たデザインの秘密道具「声楽」で予選に受かろうとしたジャイアンが、それを使わずに予選落ちした姿は良かったし、たか子の応援へ行こうと走り出す姿も悪くなかった。たか子とジャイアンの関係に、恋愛的な雰囲気が全くないストイックさがあった。
競技場へジャイアンがついた時、観客席や競技場内へファンクラブ結成バッジがばらまかれる。これにより、ジャイアンが応援のため歌っても誰も苦しむことなく、2人を応援する。ここでファンクラブを作る秘密道具の意味は出た。あくまで秘密道具は背景として、偶然に出会った子供同士の絆が主題だった。
特に出来がいいアニメオリジナルではないし、以前の回と整合性を持つ気が全くないところは否定したいが、意外と感動部分がドライに描写されていたので見やすくはあったかな。
