法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『クレヨンしんちゃん』もえPの誕生日だゾ/『SHIN-MEN』カンのヒミツ

まず予想外にAパートも素晴らしかった。
大森孝敏原画による作画もそこそこ良かったし、冒頭の作中アニメ『もえP』で泥だらけの少女2人が風呂掃除を行い、もえPが「視聴率アップ」のためと口走るメタ台詞も良い意味でひどかった。絵としては見せないかと思えば、掃除を終えた少女2人が湯船で遊ぶ作中映像もきちんと見せるフリーダムぶり。こういう狙ったギリギリ感も嫌いではない。
本編でも、「もえPスペシャルケーキ」という少女向けグッズが欲しくて貯金を握りしめて走る風間くんが、友人に知られそうになって挙動不審になる展開はオタクとして共感すること、しきりだった。中途半端な見栄をはって欲しくもないケーキをなけなしの貯金で買ってしまった後の、予想外のハッピーエンドにもついつい感情移入してしまい、御都合主義だが艱難辛苦を乗り越えた少年の幸福そうな姿で許せてしまう。


そしてスピンオフヒーロー『SHIN-MEN』の2回目が放映。湯浅政明は絵コンテだけで、特にスペシャルなアニメーターは参加していなかったが、今回も存分に舞台設定からアニメーションまで楽しむことができた。風系ヒーローが敵へ突進する作画が印象的で、他の細かい芝居や撮影効果も意外といい。
油で満ちたタンクの中に火系ヒーローだけ入っても着火はせず、空気が必要だからと風系ヒーロー達との連携が必要になる展開も、素直にヒーローアニメの脚本として面白かった。極めて短い放映時間に、科学知識に基づきつつ、ちゃんと作戦と連携を立て、障害をのりこえるドラマがつめこまれている。
ヒーロー同士が前回に対面したばかりで互いに情報を知らせず、正体を隠し続けようとする趣向も面白い。ヒロインが仮の姿で他のヒーローを誘惑することで正体を隠したり、ヒロインの秘密を知らないふりをしながら淡い好意をいだくヒーローが描かれたり、ヒーローが活躍する作品の定石的な展開をヒーロー集団内のドラマとして圧縮展開する。


ちなみに、来週からOPが新主題歌へかわるとのこと。現行のOPは映像的に楽しいものだったので残念だが、また楽しめるOPになるよう期待しておく。