法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』のび太の町が雪山に

今回も原作短編に描写を足して中編化。おおむね構成は原作通りで、主にスネ夫の危機を強調する方向で描写が足されている。
しかし最も大きな改変の、雪が積もった地面の下から熊があらわれる描写は、変温動物の冬眠と熊の冬眠の違いを理解していない気がする。熊は仮死状態にまではならないし、もちろん雪に埋もれたりはしない。熊の場合は「冬眠」でなく「冬ごもり」等と記述すれば、誤解を防げるという指摘も見たことがある。
何にしても、スネ夫の危機と救いと逆転が結末でめまぐるしく変転する物語構成の魅力が、危機描写を足すことで薄く引きのばされてしまった感がある。スネ夫の危機に、方向性が異なるアニメオリジナル活劇を足す必要はなかったと思う*1


一方で、いつもの空き地で少ない雪を子供達が集めて小型ゲレンデを作った冒頭や、公園が雪山に化す奇想をのび太のパパが植え込みからかいま見る後半は、おおむね良い改変だった。もし活劇描写がなくても映像としての楽しみは充分あった。
全体的な感想として一長一短といったところだが、熊描写に目をつぶれば悪くない映像化だったと思う。

*1:のび太達が雪山と公園をとりかえる前から、スネ夫達が熊に追いかけられていたなら、まだ原作の構成を強調する意味合いがあったと思うが。