法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』かべ紙の中で新年会/もしもボックス/のび左エ門の秘宝/のび太の恐竜2006

「新春!ドラえもん祭 祝ウサギ年映画もあるピョンスペシャル」として早朝に放映された、3時間特別番組。
ただし、2時間近くは地上波ゴールデンタイムで放映ずみの5年前の映画『ドラえもん のび太の恐竜2006』に割り当てられているし、他の短編も中編も全て再放送ではある。映画宣伝等をドラえもん達が紹介していく新規作画も、力が入っているとはいえない。
多くを期待せず、正月をテーマにした中短編を通して見比べる面白味や、最初の放映時と比べてカットが少ない映画を愉しみ、そして初回放映時に地上アナログ放送で視聴していた人には本来のビスタサイズで楽しめる、といった良かった探しで納得するべきか。
ただ、「新作映像」と喧伝していた映画『新鉄人兵団』の予告が放映ずみと同じだったことには、JAROに電話しようかと思ったよ。


ついでに、日記を書いていなかった時期の短編感想も書いておく。
「かべ紙の中で新年会」は幼年向けに書かれた原作であるため、ジャイアンスネ夫といがみあうような場面がなく、ストレスなく楽しめる。
2006年1月13日に放映されたアニメでは、冒頭で夫の新年会で苦労しているママを描写することで、のび太の新年会を断る説得力を高めている。形ばかりの笑顔で夫を見送るママのやるせなさが身にしみる。
終盤の脱出シーンも全く異なるところ。壁紙をママが丸めると内部空間の映像がゆがみ、SF的に効果的に圧迫感を演出した。丸まった壁紙を内部から開けようと全員でぶつかる姿もアニメならではのダイナミックなものとなっていて、意図せず2階の外へ飛び出してしまう場面など、改めて見てもサスペンスフルに感じた。
もしもボックス」は2007年1月12日に放映されたもの。基本的に原作通り。価値観が異なる社会のありようというハードSF的な思索を、とてつもなくせせこましい世界観で描く。いかにも藤子F作品らしい狂気がほとばしっていて、アニメならではの工夫こそ少ないが、この方向性も間違いとは思わない。
しかし「のび左エ門の秘宝」*1もふくめて、桜井このみ作画監督回を一度に2作も再放送されるのは、ちょっと困った。原画の腕がいいのか、『ドラえもん』では作画の良いカットもあるのだが、連続されるとキャラクター修正の甘さが気にかかる。