法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ドラ-1グランプリ/聖夜のドロボーサンタクロース/ドラミ劇場〜塔の中のお姫様〜

クリスマスSP。ひさしぶりに大晦日SPが無くなったため、年内最後の放送となるわけだが、それが1時間SPではちとさびしい。


「ドラ-1グランプリ」はアバンタイトルで展開された、ドラえもんのび太の短い漫才。一つの作品というより、SPらしさを出すための導入といった程度。せっかく年末放送なのだから、M-1ではなくK-1をパロディすれば季節感が出たかもしれないのに。
まあ漫才としては面白くないものの、高木晴美が演出から作画監督、原画までつとめており、作画はそれなりに良かった。


「聖夜のドロボーサンタクロース」は原作短編から「ココロコロン」に「サンタメール」を加えて中編にしたてた内容。両方ともリニューアル後にも映像化されている。
ここしばらく水野宗徳脚本SPは好印象だったが、今回は今一つ。思いっきりタイムパラドックスを起こしているし*1、細かいギャグがふるわないし、ほとんど原作短編通りの展開なので次回予告から予想した範囲にとどまった。命令に忠実すぎるほど忠実に動くロボットサンタが、なぜクリスマスプレゼントを盗んでいったかの動機解明は面白かったし、良い意味で物語に教訓を溶け込ませていたのだが……
あと、以前の新生ドラえもんで「ココロコロン」が映像化された時は、原作に忠実に映像化していた時期なのに、なぜかオリジナル展開でギャグをつけくわえ、あまり良い印象ではなかった。むしろ今回の大筋こそ原作に似ており、新生ドラえもんで初めて原作に忠実な「ココロコロン」が見られたという不思議な感慨があった。
コンテ演出は腰繁男1人で担当しているが、作画監督は吉田誠、をがわいちろを、丸山宏一の3人が連名。そのためか、パートごとにばらつきが激しい。人形を抱えて山から街の夜景を見下ろしたり雪景色で真白くなった街並みを見せたりと背景美術が印象的なBパート、キャラクター作画が整いつつアクションでしっかり動かしていたCパートが良かったかな。


「ドラミ劇場〜塔の中のお姫様〜」も、いつもの名作劇場翻案にくわえて、原作短編「なぜか劇がメチャクチャに」から秘密道具を使用。『ラプンツェル』を上演するにあたって、ドラミをふくむメンバーが様々な役をシャッフルして演じていくのだが、失敗してばかり。
なぜかラプンツェルが歌うことで王子が気づく描写が強調されていて不思議に思っていたのだが、最終的にジャイアンが歌うというオチで納得。無理やりな脚本でしずちゃんの入浴シーンまでおがめたし、まあ今年最後のSPとしては楽しく終われて良かったのではないかと。
あと、劇のメチャクチャさにあきれたドラミがその場を去ったかと思えば、そのまま番組のプレゼント企画へシームレスに移行したことにビックリした。面白いことは面白かったが、ソフト収録や再放送では断りのテロップが必要になるな。


あと、来年映画の長尺予告も放映された。おおむね映像は素晴らしいが、鉄人兵団の目的が「征服」という台詞に、ひょっとして文明SFとしての面白味が消されているのではないかと不安になる。子供向けと子供騙しは違うのだが。
加藤浩次が演じる総司令官の声にも違和感。聞いてみると芸能人枠にしては悪くない演技なのだが、若々しすぎる。総司令官ではなく、その側に仕える幹部に配役してほしかった。

*1:わりと原作でも時間改変してしまう話はあるのだが、その場合は時間移動がパラレルワールド型と明示してから物語を展開することがほとんどであり、1話で完結すると見ればタイムスリップSFとして成り立っている。