法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

たぶん『ストライクウィッチーズ2』は本質的に戦争を描けない

念のため、前回のエントリは戦争を描けないということが悪いという意味ではない。もし全面的に悪いというなら「職人芸」という表現も用いなかっただろう。
たぶん『ストライクウィッチーズ』は本質的に戦争を描けない - 法華狼の日記
主な要点としては、敵が人間でないから戦争よりも天災や獣害にという指摘があることに対し、たとえ敵が人間のような知的存在であったとしてもそれだけではやはり戦争とは違うものを描いているのではないか、という疑問である。


しかしブックマークコメントを読んでいて、気づかされた*1
はてなブックマーク - たぶん『ストライクウィッチーズ』は本質的に戦争を描けない - 法華狼の日記

miruna なんだかなあ そのシナリオだとナデシコになっちゃうじゃん。ストライクウィッチーズナデシコ期待してどうするの? 2010/07/24

先述したように戦争を描くことを期待していたわけではないのだが、確かに敵と意思疎通をはかった後に本当の戦争が始まるという展開は『機動戦艦ナデシコ』と同じだ。いかにも會川昇脚本らしく底意地の悪い、同時に政治的な正しさには目配りされた脚本だったと思う。
もっとも『機動戦艦ナデシコ』における戦争はラブコメの背景にすぎず、危機のための危機を描写するような嫌らしさもあり、戦争の結末も描かれないままだった。『ストライクウィッチーズ』という作品には期待していなくても、『機動戦艦ナデシコ』が描きかけた戦争の結末を期待している私があるのかもしれない。……今になって思えば、それが『シムーン』だったのだろうか*2


ちなみにtwitterを見ると、最近は『十二国記』BDBOX特典の脚本を執筆していたようだ。
會川 昇 (@nishi_ogi) | Twitter
かなり原作とは異なる展開のアニメで原作ファンからは非難轟々だったらしいが*3、後に講談社ホワイトハート文庫から出た脚本集を読むと多くの改変点が原作者の示唆を受けてのものだったと説明されていた。今回の特典も原作者の示唆を受けつつ脚本を書いた面があるらしく*4、実際に出来上がった内容は知らないが、伝聞で語られる原作者の示唆自体が興味深い。

*1:あと、第1話冒頭描写から異なるメッセージの可能性を指摘したり、異なる「戦争」の基準を指摘する他のコメントも興味深いと思う。

*2:小山田風狂子名義で参加している。

*3:會川脚本アニメいつもの評価ではあるが、ツイートを読むと実際にテレビシリーズラストで実際にやらかしていたらしい。http://twitter.com/nishi_ogi/status/19390071432「 『十二国記』 しかしながらテレビシリーズのラストで一度は逃亡した私に、改めて依頼をしてくださった総合ビジョンのSさんの誠意には是非ともお応えしたく、無理を承知で引き受けさせていただきました。そして原作者の小野先生にはメールで何度も相談申し上げ、ご迷惑をおかけいたしました 2010年7月24日」

*4:http://twitter.com/nishi_ogi/status/19390393132