法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ヤッターマン』

TVで視聴。『ガッチャマン』ではなく、邦画特撮の身の丈に合わせた企画を選んだ三池崇史監督が見事なのだろう。作り物っぽい質感のCGでも違和感はないし、基本が一話完結のマンネリストーリーだから長編映画に内容を凝縮することができる。
TVで人気のタレントを多数起用しないとならない近年の邦画大作として、コメディタッチな演出も合っている。実際、商業のためにと人気タレントを起用せざるをえない邦画の現状は、かなり三池監督も意識していたようだ。
ヤッターマン インタビュー: 三池崇史監督が語る「ヤッターマン」(2) (2) - 映画.com

あと、この業界って何年かやっていると、その世界の常識の中でしか考えられなくなってしまう。タレント名鑑を見て、いま人気があるのは誰だというところから映画作りが始まる。人気のある小説はなんだ、原作はなんだ、番組はどれだとか。そこからして夢がない。映画が驚異になる時代ではなくなってしまった。

映画で強化された描写として、ヤッターマン1号とドロンジョのラブコメは良かったし、バトルの物量も多くて時間いっぱいは楽しめた。原作の味を活かしつつ実写へ落とし込んだデザインワークも悪くない。ヤッターワンはもっとカラフルでも良かったが。
ただ、お約束と温さで楽しませる『ヤッターマン』の原作自体があまり好きではないので、そのお約束な雰囲気をも再現したこの映画のコメディ描写も好みではなかった。もっとテンポ良いギャグで見たかったな。