法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HEROMAN』第02話 エンカウンター

今回は異星人と思われる侵略者も登場し、多数の警官と戦うことでの緊張感はあった。意図せず呼び寄せてしまったマッドサイエンティストと主人公のかばいあいも悪くない。
しかし、ヒロインの存在感が弱すぎる。前回ヒーローマンに助けてもらった時は主人公の姿を確認せず、今回はっきり確認した上で主人公自身にも助けてもらったわけだが、元から積極的に主人公への好意を示しているためヒロインの言動がほとんど変化しない。北米のチアリーダーという立場から考えると、ナードな主人公に助けられたと知るまで「キモオタ」とさげすむくらいの描写があってもいい。アメコミヒーローのお約束だ。元から好意をいだかれていることが変化してないため、ヒーローとして活躍しても爽快感が薄い。せめて、ヒロインの兄が主人公を嫌う描写を優先するべきだったのではないか。初回にヒロインとその兄の両方を助けるとか、ヒロインを助ける描写は初回か今回かの一回ですませるとか、描写を圧縮する方法は色々考えられるだろう。
やはり作りが生温いかな。もう少し刺激ある描写を入れたり*1マッドサイエンティスト等でフェティッシュな描写を隠し味に入れれば、王道なクライマックスのアクションがより面白かっただろうに、と思う。


コンテはBONESでメカ作画を担当することが多かった、ねこまたや。実景を資料として活用しているためでもあるだろうが、実写映画のように人間と同じ高さから見る構図が多用され、止め絵で省力しながらも群集を多く描き、あたかもアメリカ制作のドラマを見ている気分がある。アクションでも間断なく動き、ちょっと人間より大きいサイズで体型が奇妙なヒーローも画面を破綻させない。かなり要求度の高いコンテを作画が充分以上に支えている。
キャラクターも整って小芝居が楽しめ、突出して印象に残るようなカットこそなかったものの、映像は充実していた。デザインも目新しさは少ないが、それなりに世界の統一感は出せている。


ところで気になっていた国旗に対する距離感について。
OPのメインタイトル直前や、公式サイトのメニューページで確認できるが、ヒーローマンが腕を下ろした状態だと、白い体色に赤い輪が浮かび上がるようなデザインになっている。日の丸そのものではないが、日輪をイメージしていることは確かなのだろう。
http://wdshe.jp/heroman/
あと、OPで登場する星条旗は2回ある。ヒーローマンをふくむ主人公達の背景として使用されている30秒ほどの場面と、カット切り替えではためく星条旗の後から影となった大人達が登場する60秒ほどの場面だ。
HEROMAN (ヒーローマン) | バンダイチャンネル|初回おためし無料のアニメ配信サービス
前者は単純にアメリカの正義と見ていいだろうが、後者は国家的な強権力に対する距離を描いていると思える。つまり国旗の二面性が示唆されているわけなのだが、OP通りに物語が進む確証がないので判断は保留しておく。
ただ、表現たる国旗の扱いについて考えている昨今、個人的に興味をひかれる描写ではあった。

*1:流血や虐待といった映像としての刺激である必要はない。主人公がヒーローマンの存在を隠すため、もっと苦労するとかの緊張感でいい。