法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『エレメントハンターELEMENTHUNTERS』MISSION.36 時空を越えた奇跡/MISSION.37 あした、十一次元へ!

ユノの伝えたかった記憶がネガアースへ届けられ、救いを求めてあがいていたレン達のもとへ4000万年の時を超えて伝わる……
パーツを組み合わせてユノの立体映像が登場した瞬間は不安になったが、あくまで一方通行な情報伝達であることが強調され、安易に生き返る展開にならなかったので良かったよ。ユノがネガアースで知性体シェイプシフターを生んだという古臭いタイムループネタでもなく。
他の記憶を捨ててまで、ああいう記録映像を残したユノのパーソナリティも面白い。考えてみればレン達に自分の存在を伝えるには、複雑で大切な記憶より、外形の記録だけの方が容易で確実かもしれない。


前回まで描写開示された設定を受けて自然に納得できる救出方法でレン達はコロニーへ帰還する。そして地球へ一度戻って仕切りなおし、ていねいに家族との別れを描く。
一方で、クーデターを計画していた川嶋長官は、火星移住計画が不可能になったことで裏切られ、一気に逮捕拘束されることに。なるほど、前回放送ではキャラクターの格が急に落ちて困惑したが、むしろここで一気に川嶋長官の選択肢を狭めて物語から無駄を排除しつつ、いったん落ちるところまで落ちた状態で主人公の前に立ちふさがるわけか。これなら決着が近い物語の速度を陰謀劇で停滞させることもないし、逆境で悪党なりに信念を貫くキャラクターの存在感も立つ。
ハンナがいったんは川嶋長官の意でアリーを倒すが、その意思を受け継いで真に新たなエレメントハンターとなる結末も綺麗。


連続で放映されても作画や話の流れに違和感なく、前後それぞれ起承転結がしっかりして話の密度も娯楽作品として手ごろ。当初に予想していたのとは少し違うものの、良いシリーズとして結末を迎えてくれそうだ。