畑野森生が演出、奥山美佳が作画監督。原画には末吉悟や飯島秀一など。今回もまんべんなく見所があったが、個人的にはアクション全般が最も楽しめた。
まず、麺を使った攻撃をキュアブロッサムが体をいれかえてかわし続けたり、そのまま麺を滑るようにキュアマリーンが敵へ肉薄する作画演出が目を引く。デザトリアンの攻撃でも、両手が麺であることを利用したり、具材を飛び道具に使ったりと、ラーメンをモチーフにしていることを最大限に活かした多彩な攻撃が良かった。
さらに、架空の街の存在感を出すために、背景の事物を細かくからめているところにも注目したい。主人公がデザトリアンを発見するカットで、遠景と近景の間に柵をはさんで奥行きを強調し、次に主人公がプリキュアへ変身するとその柵に降り立つという演出がうまい。次にデザトリアンがラーメン屋を狙撃しようとするカットでも、望遠圧縮された背景画が、距離感と実在感を演出していた。キャラクターの頭身で表されているように、虚構性の高い世界観だが、代わりに架空世界の存在感ではシリーズで最も気を配っている。
物語本編についても、涙あり笑いありで、古典的な展開ながら楽しめた。少女向けアニメでも深くゲスト男子のドラマを描くあたり、本当に『オジャ魔女どれみ』シリーズを思い出す。実際、今回の脚本はどれみシリーズに入っていた成田良美。主人公が狂言回しに徹し、父への思慕と反発という葛藤をかかえた思春期少年の物語をきちんと起承転結でまとめていた。
ただ、作中で美味とされている三浦ラーメンの内容が、あまり映像から伝わってこないことは残念だった*1。見た目はごく普通のラーメンで、個性が感じられない。せめてスープの種類か、味へのコメントがあれば良かったのだが。ラーメン開店の花飾りに対する主人公の意見は絵としても理屈としても納得できただけに、親子関係の対となるラーメンがらみも期待してしまった。
あと、前回に敗北した敵幹部がよくある釈明ですまされた御都合主義も、もう少し工夫してほしかったな。不幸エネルギーを集めるという目的を設定することで、毎回それなりに敵も目的を達成していた『フレッシュプリキュア!』*2を超えてほしかった。
なお、今回からOPで映画宣伝映像が入っているが……間違えて、見ないまま消してしまった。