法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『フレッシュプリキュア!』第50話 笑顔がいっぱい!みんなで幸せゲットだよ!!

最終回。
演出はシリーズディレクターの座古明史、作画監督はキャラクターデザインの香川久。原画には初回の作画監督だった爲我井克美など。
最終決戦らしくボリュームのある戦闘は楽しめたし、最後のダンス大会を通して各キャラクターを簡単に押さえていき、プリキュア各人の未来を予感させるカットを連続して終わるという構成も悪くはない。
別世界への離別まで描かれているというのに、良くも悪くも、最終回らしいしめやかさが薄かった。


さて、全体の感想だが、あまり良い印象を持てていない。
以前のプリキュアシリーズにない要素が多々あり、当初は期待していたのだが、キュアパッションの正体探しを無闇に引っ張ったころからだれはじめ、最終的には残念な印象が残るシリーズだったと思う。
結局のところ、今シリーズでの一貫した核というものがなかった。全体をふりかえってみると、前半で提示したものを後半で回収しきれていないところが目立つ。シリーズディレクターが途中で連名になったことも関係しているのだろう。


まずシリーズ構成について。
プリキュアに対応する男性がいた設定は、全体で機能していたとは言い難い。後半でもピックアップした回こそあったが、最終的に放置されてしまった。キュアベリーの病弱な弟にいたっては、ごくごく序盤で取り上げられただけ。
プリキュアが別々の学校へ通っている設定も、目に見える効果を上げていたとは言い難い。キュアピーチがメインとなった後半で、キュアベリーキュアパインを自然に物語から排除する効果があったといえるかもしれないが、むしろ学校が別だからキュアピーチ以外が物語から排除されてしまったと考えるべきだろう。
新しいプリキュアを探していたら敵側にいたという展開も、一部の話題をさらったが、あくまで前半での娯楽要素。テーマとして後に続くものがなかった。たとえば、味方から敵になる新キャラクターが出てくるとか、他の敵もしっかり伏線を張った上で味方になるとか*1いった構成にできていなかった。


次に、演出や作画の全体について。
スタジオコクピット香川久がキャラクターデザインをしており、頭身が高くシャープなデザインは新味があったし、キャラクター作画は全体的に安定していた。アイキャッチ等のメインビジュアルは、プリキュアシリーズで最もよくまとまっていたと今でも思う。
しかし過去シリーズではローテーションで巧いアニメーターが参加して見所を作っていたのに、今シリーズでは志田直俊が一人でがんばっていた程度。変身シーン等の使い回しは比較的に減ったが、代わりとなる見所がなかった。香川久が所属しているスタジオコクピット*2からアニメーターが参加することもなし。
演出面でも松本理恵が一人で印象的な回を残しているばかり。大塚隆史は、映画を手がけた後であり、しばらく休業状態。座古明史の作りこんだ演出も、管理社会に抗う物語とは水と油だった。


初期設定は現実感を重視していた感じだったが、中盤からはいつものプリキュアらしい寓話的な物語が多くなり、そこではキャラクター性の弱さが足を引っ張ってしまっていた。演出や作画でも、最終的に過去の財産にたよる結果となってしまった。
好印象な回も少なくないし、3DCGで制作されたEDは完成度が高く*3、次のステップに繋げられそうな要素も多かったが、最終的には古典的な展開で何とか終わらせたといったところかな。

*1:各話感想でも書いていたように、ウェスターのサウラーの温度差を物語に反映していないので、単なる御都合主義に見えてしまったという問題が大きい。

*2:ハートキャッチプリキュア』キャラクターデザインの馬越嘉彦も所属しているので、つまり今回と次回でスタジオコクピットから作画監督が連投ということになるか。

*3:OPには最後まで慣れなかったが。特に歌唱力がきつかった。