法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『金の鍵〜ブラチーノの冒険〜』

ピノキオ』に影響されたというか、前半の展開をそっくり真似て書かれた童話『金の鍵』をアニメ化したもの。
雪解け期のソ連で制作されたこともあって、ディズニー等のアメリカアニメの影響を感じる……結果として、ますます『ピノキオ』の偽物っぽい印象に。


なお、より正確にいうと、当初の『ピノキオ』自体も、狐達に騙されて金を失ったピノキオが木に吊るされた場面で完結していた。その教訓臭いアンハッピーエンドが不評で、鯨に飲み込まれる有名な終盤が後でつけたされた。
『金の鍵』も木に吊るされる場面まではほとんど同じで、それ以降の展開が本家と異なる。つまり単純なパロディというよりは、意識的な二次創作に近い。伏線の妙などは本家よりしっかりしている部分もある。


アニメとしての見所も後半に集中している。
ブラチーノは原典だと狐達の詐欺話にすぎなかった異世界へ向かうわけだが、そのデザイン設定はなかなか破天荒で、作画にも力が入っている。
狐達の手先となった蝙蝠がブラチーノへ異世界の場所を教える場面など、主観映像で急接近して回り込む精緻な背景動画が、短いながらも楽しめる。このカットは一見の価値あり。ブラチーノが川に放りこまれる場面でも、落ちていくブラチーノと橋を同じ構図で収めるために背景動画が使われていた。