おいおい、自由民権運動を行っている正岡子規は、まだ未成年の学生だろ。いきなり香川照之が演じるのは無理があるぞ!
基本的に芸達者な俳優が多く、西田敏行が高橋是清に似ていない以外は、安心して見ることができただけに、場面が変わって子役から急成長しすぎたのは違和感ありすぎる。成人した正岡子規にはそっくりなのだが……
さておき、語り口は案外とテンポ良く、かといって詰め込みすぎという印象もなく、ドラマとして楽しむことができた。
前半では、主要登場人物のキャラクター性や家族構成を印象づける逸話を中心に。後半では、英国紳士を賞賛する言葉を要点にして、欧米への憧れとともに、相反する世界の実態を描き出す。
すぐ横道にそれる司馬遼太郎の悪癖は、高橋是清の人となりを描く場面にのみ残すことで、逆に重要人物だけを印象づける。ここでの横道描写は、有名な歴史との関わりを示すことで、ドラマの時代性を実感させる効果もある。
脚本の刈り込みが巧い。EDクレジットを見ると脚本関係者が驚くほど多いが、散漫にならずよくまとまっていた。
特撮の面では、結末の軍艦が素晴らしい。波をけたてて浮上した巨大構造物が進む、しかも前景に俳優を配置という難しい絵が、全く破綻していない。
この後における主人公と英国や軍の関係を絵で予感させる、印象的な場面だ。