法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』恐怖のジャイアンディナーショー/のび太もたまには考える

前半は釘宮洋コンテ、後半は腰繁男コンテ演出。動画工房が制作協力。
今回の原作は、どちらも発端から転調せずにひたすら状況が過剰になっていき、結末で斜め上から肩すかしなオチが来るという、少し珍しい構成。前後半ともにほぼ原作通りでアニメ化しているので、演出家の違う個性も楽しめる。動画工房回らしく作画も良いし、原作通りのアニメ化という面では理想に近い。


前半は、スネ夫のヤケクソぶりが原作の印象を壊さない程度に激しくなっているのが、まず良かった。腹黒さを感じさせるしずちゃんも、アニメならではの演技が加わって、さらに色々な意味で楽しい。あと、ジャイアンの料理が凄まじくなった原因を地味に補完する描写も笑えた。セミの抜け殻は「好き」の意味が違うだろ!
後半は、キャラクターの表情演出が念入りで細やかなのが好印象。のび太が自立したかに見せて、実態は秘密道具の力を借りたままという原作の突き放した目線を残しつつ、少し成長したかとも感じさせる微妙な結末も良い。ただダンスやオペラは、ここだけ作画にメリハリが足りないのもあって、いささか描写が弱かった。