なるほど、コロニー側と地球側の対立というより、過去の組織内対立が現在まで尾を引いているということか。コロニー側に内通者がいるなら、地球側エレメントハンターの情報が操作されていても不自然ではないし、対外的に敵対者の存在を明かしにくい事情も推察できる。前回のコフ司令官と合わせて、コロニー側が強く出れない理由はほとんど納得できるようになった。
あと、前回の会議で拙速をたしなめる場面が印象的だった男が、実は内通者だったという展開も、地味にていねいさを感じさせて好印象。話をまたぐ前振りが、きちんと前振りとして機能している。
コロニーではなく地球で活動する意味が博士側にあることも臭わされ*1、お世辞にも有能とはいえない主人公連中が選ばれた理由も補完できる。エレメントハンターになれるフィルターが脳内にあるのに、様々な能力が足りないため地球に残されたから、結果として博士に選ばれたのだ、と。素人なのにエレメントハンターになれたのではなく、素人だから正式なエレメントハンターになれなかったというわけか。あくまで現時点での勝手な補完で、全く別の設定が用意されているのかもしれないが。
アリーに物語の比重が移って、初期設定の様々な違和感を気にせず楽しめる。その違和感あった設定も部分的に説明され、いくつかは解消されていく。よく考証された宇宙描写もあいまって、管理状態からの脱出劇として素直に面白かった。
主要登場人物の死を即座に疑う描写が入ることで、無駄に話が重くならず、作品の死生観も安っぽくならない。ただ、今回の展開からは、アリーの事故死を発表する意味は感じられない。次元フィルターローブが成長によって消滅したという発表でも、アリーを第一線から下がらせる理屈として十分だろう。どこからか事故死の嘘がもれる可能性を考慮すれば、できるだけ小さな嘘ですませるべき*2。
しかし、この展開なら最初からアリーの立場を主人公にしても良かったろうに、とか思ってしまう。現時点でも実質的にダブル主人公のようなものだし。
管理社会における作られたヒーローが、自分の正義に疑問を抱くという王道展開になっただろう。王道すぎて、作り手としては変化をつけたかったのかもしれないが。
