はてなブックマーク - ダブルスタンダードだから何？ - 法華狼の日記
hisamatomoki これはひどい これ、本人さえ何言ってるかわかんなくなってないか……？ 2009/07/25
そう感じる原因は、私の文章力にあるのかもしれないし、id:hisamatomoki氏の読解力にあるかもしれない。ほのめかすだけで疑問の道筋すら示されないのでは、具体的に応答することが難しい。
しかし、外部から見て不合理に思える言動が必ずしも合理性を欠いているわけではないという話は、まさにhisamatomoki氏もブックマークをつけた*1前々回で指摘したことだ。どうも真面目に読まれていない気がする。
ついでに、いろいろ別の話題を援用しながら回答してみよう。
はてなブックマーク - そう、一が全とは限らない。あらゆる意味で。 - 法華狼の日記
hisamatomoki 途中から話関係ないような 2009/07/31
Mukke トンデモ, racism 「しかし，JSF氏に賛同する人々が，ちくわ氏に対してどのようなふるまいをするのか，興味深く感じている」脈絡なくね？/取り敢えず俺に関してはブクマから察して欲しい。http://b.hatena.ne.jp/Mukke/racism/。 2009/07/30
id:Mukke氏には、以前にブログへコメントをつけたこともあり、差別主義を嫌悪していることは知っているつもり。ただ、念頭においてほしい観点があるので、いくつか説明させてもらう。
まず、そう、一が全とは限らない。あらゆる意味で。 - 法華狼の日記での性犯罪率に関する指摘には、細部に異論はあるとしても、おおむね同意していただけると仮定して話を進める。
この性犯罪率に関する指摘には、大きくわけて二種類の観点がある。「その記事の何が、性犯罪率世界最悪という証拠になるのか？」と、「性犯罪率世界最悪という証拠があるとして、だから何といえるのか？」と。前者の指摘と後者の指摘が矛盾しているかのような感覚を持つ者もいるが、実際には別個に成り立つ。
現代において、差別主義者は愚劣だという共通認識がある。実際、証拠さえあればすべからく差別するべきという主張は、その愚劣さを象徴するように論理破綻していることが多い。そのため論理破綻という観点から批判するだけで、たいていの差別的な主張を退けることができる。しかし差別そのものを批判する態度も捨てるべきではない。
これは先日に話題となった「反日上等」騒動をめぐっても、同様の観点がある。
その国旗に風穴を開けろ！ - 法華狼の日記
他でも指摘されているように*2、「何が反日？」と「反日だから何？」は別個に成り立つし、前者の問いかけに注力することで、後者の問いかけを放置していいことにはならない。
いしけりあそび氏は、後者の問いかけを放置すべきという話はしていなかったと判断する。問いかける手法が稚拙だったという問題のみに還元されるとも思わない。結局は、人質が取られているという比喩が最も当を得ていたと考える。
この問題は逆の形でも現われている。
少し前、土井たか子氏が在日朝鮮人であるという記事が、雑誌『WiLL』に掲載されたことがある。土井氏は裁判へ訴え、被告となった『WiLL』も事実関係では争わず、当然のように名誉毀損が認められた。在日朝鮮人であれば日本の政治家になれないわけだから、『WiLL』記事は掲載者も虚報と理解していて当然だった。
そうした明らかな捏造記事へ反駁した土井氏に対し、見当違いの批判があった。ことさら自身が日本人であると主張するのは、在日朝鮮人に対して差別意識があるからだ、という中傷だ。先述したように在日朝鮮人であるという虚報をたださなければ、政治家として積み重ねた過去を全否定されるわけだから、土井氏の行動は妥当だ。
さらに土井氏の行動は、「誰が在日朝鮮人？」という反論であって、「在日朝鮮人であれば何？」という反論が別個に成り立つことは説明してきたとおり。つまり土井氏の行動は、在日朝鮮人に対して差別意識を持っていることを示さない。
しかしだからこそ、土井氏自身が行動を起こさなくても、社会を構成する私たちが「在日朝鮮人であれば何？」という共通理解を持たなければならない。そもそも『WiLL』の虚報自体が、在日朝鮮人に対して日本社会が残している偏見の反映なのだから。
ここでようやく話を最初へ戻す。
JSF氏の問題はあからさまではないし、私が言及した程度も観点ごとに異なる。異なる観点からの問いが独立しているということに気づきにくいかもしれない。だから、二重三重に誤っていることが明らかな文章を引いて、異なる観点の独立性と必要性を示したかったわけだ。
そう、何がダブルスタンダード？ - 法華狼の日記とダブルスタンダードだから何？ - 法華狼の日記も、あくまで異なる観点から話しているのであって、一方がもう一方を否定しているわけではない。ダブルスタンダード認定の精度と、ダブルスタンダードであれば何を批判すべきなのかは、独立した問いなのだ。
