法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』海に入らず海底を散歩する方法/真夏に冬がやってきた

今回は前後半ともに短編原作を素直にアニメ化。季節に合わせて夏の物語を選択。


前半は、色々な意味で原作そのまま。シンプルでいて映像的なインパクトのある秘密道具設定を充分に活かしていた。
演出面では背景動画を多用していたこと、追いかけっこを海面の穴で表現していたことが印象的。物語面ではスネ夫の受けたしっぺ返しが原作以上に強調されているが、巻き込まれた人々の被害が大きすぎるので原作通りにあくまで事故という描写に抑えてほしかったかな。


後半は、終盤の大災厄にリソースを注ぎ込み、急転直下のオチまでなだれこむ。焼けて融けたアスファルト、土手を登った*1目前に広がる荒廃した街。灼熱の街を走るのび太が印象的で、作画や美術も健闘しており、オチを知りつつも楽しめる映像に仕上がっていた。のび太の心情には嘘偽りないことも確かで、実際に主人公らしい姿ではある。
ただ、のび太の行動が偶然にもたらしたオチかもしれない原作に対し、今回のアニメでは明らかにドラえもんの意図が介在している。のび太への教訓をわかりやすくするためなのか、少しばかり説教臭いかな。教訓のためでも、大災厄の強調だけで充分だったと思う。

*1:このアニメ独自のシークエンスが同じ岡部優子脚本の「ぼくよりダメなやつがきた」と類似している。