法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』あべこべ惑星

頭の悪さを何とかしたいと七夕に願いをかけていたのび太が、天体けんび鏡で見た星空に、全てがあべこべの惑星があることを発見する。


原作ではオチにすぎなかった逆転世界を舞台に物語展開する、リニューアル前にアニメ化した時と同じ改変。反世界に存在するドラえもん、タケノコプターという秘密道具の設定も流用されている。七夕という季節に合わせただけでなく、前アニメのそれが心に残る話30企画で票が集まったことも理由として、今回のタイミングで作られたのだろう。
ただし大筋は異なっており、互いの立場をいれかえる前作に対し、今作では天才の立場を喜んでいたのび太が陰謀に巻き込まれる。原作にある別の短編「うつつまくら」と似た物語構造。


正直いって、特に面白い話とは思わなかった。逆転ぶりが安易で、意外性がほとんどない。
出木杉のキャラクターデザインが女性的にも見えることと、男子の声が出せない素人女性*1が声をあてているために、普通の少女らしく感じたのが、ある意味で面白かったくらい。対比するように、同じく女性が声をあてているのび太やそのママで、声優らしい上手さを感じることもできた。
最後の脱出劇も安易だ。確実性を考えれば天才のび太が操作するべき。ただ、脱出後に天才のび太が弱さを見せ、通常のび太に主人公らしい人格が備わっていることを示す描写は良かったかな。


今回のコンテは、映画『ドラえもん のび太と緑の巨人伝』で演出および連名コンテを担当した宮下新平。
OPのスタッフクレジットを見て期待したが、良くも悪くもソツのない演出。わかりやすい個性みたいなものがあれば印象に残りやすいのだが、ちょっと上手い以上のものではなかった。

*1:たしか女性アナウンサー。アナウンサーは声優に近い仕事で、同様の訓練も受けている場合があるそうだが、女性が男子の声を出すようなテクニックは特殊すぎるのだろうか。