法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』のび太を愛した美少女

6月26日に放映するからと、今回は1時間お26スペシャル……「26」と書いて「フロ」と読ませる……何のための何のスペシャルか意味不明すぎ*1良くも悪くも印象に残る。


物語はアニメオリジナルストーリー。
前半は原作初期短編「ロボ子が愛してる」と似た展開で、ロボットのヒロインが登場して騒動を巻き起こす。そこへ原作後期の、非人間少女とのほのかな恋愛物語を足して、中編にまとめたといったところ。
『ターミネイター4』公開に便乗した展開や描写は少しばかり鼻についたが、いかにもSFなバタフライ効果で犯人のひどさを強調する独自性もあって、時間犯罪物として及第点。
キャラクターアニメとしても、特に可もなく不可もなく。ジャイアンスネ夫の横暴や、しずちゃんの無神経さにもフォローを入れて印象が悪くならないよう配慮しつつ、ヒロインとの別れに収束していく結末構成は巧み。
ただ、モチーフにした「青い鳥」は少し消化不良だったかな。もう一押しがあれば良かった。


今回は1時間にわたって寺本幸代がコンテを担当し、演出も連名でつとめていた。作画も安定しながら要所でよく動き、映像は充実。
未来世界はSFらしさが薄い作りだったが、主な舞台となる現在世界ではロングショットを多用して緻密な背景美術を見せ、生活感や季節感を盛り上げる。特定の季節で起きた出来事と示し、ひとときの物語と強調する。同時に様々な場所を舞台とすることで、すごした時の濃密さを感じさせる。
他には、ゴミ捨て場でのび太ドラえもんが対峙する場面が、ゴミの分別で境界線を作って2人のディスコミュニケーションを演出しており、印象に残った。ドラえもんが少しのび太の側へ足を踏み出しているところが細かくて良い。


あと、ヒロイン「ルリィ」を演じたのは釘宮理恵。こういう役を演じるのはひさしぶりではないだろうか*2。けなげにつくす少女がはまり役すぎて*3、最近は変化球が多いような気がしている。

*1:作中で風呂がクローズアップされるわけですらない。

*2:最近の萌えアニメにうといので、実際は珍しくないかもしれないが。

*3:りぜるまいん』とか。