法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『獣の奏者エリン』第23話 カザルムの誓い

エリンと先輩のやりとりを描く冒頭が、普通の学園ラブコメに見えて困った。


本筋は、新王から軍事面を任されている大公側の内部対立。
戦場に出られず力をふるえないことに不満をいだく弟が、父との対立をへて、戦場の現実を知っている兄とついに道をたがえる。互いに相手を尊敬しいとおしく思っている様子がしっかり描かれているから、わりと一直線な話なりに流れが面白かった。
兄弟で植えた木が二股に育ち、その前で剣を交えるとか、いなされ飛ばされた剣がその木に突き刺さるとか、結末でその剣を切り倒すとか、わかりやすい暗喩もきまっている。
また、新王側から大量の花が贈られるという、兵士の求めるものを全く理解していない行動が、贈った者の一筋縄でいきそうにない性格も合わせて、卑怯なくらい決まっていた。ただ、木が違って花にかけよる兵士はいささか演技過多だったと思う。兵士の歌も前振りがなかったから、唐突で演出過多に感じた。あらかじめ戦場描写の度に歌を使っていたら名描写になっただろうと思うだけに、惜しい。
あと、戦場ではなく城へ補充兵をよこして距離と時間を空費することの不満が先に描かれているから、後で医術師が城によこされた時に台詞で説明しなくても不満をいだいたどうことが想像できる脚本が良かった。