法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『佐武と市捕物控』第22話 美しい獲物/第23話 あいつを殺した子守唄

第22話は、死者の遺した言葉や文章、いわゆるダイイングメッセージをめぐる謎解き回。
ダイイングメッセージの真相が別にあるのは定石で、いかに真相を探り当てるかが見所のわけだが、たいした伏線もなく解決編で唐突に新しい名前が出てくるというのはひどい。刑事が足で稼ぐ社会派推理小説であっても、たいていは謎解き前にデータを開示するよ!
どちらかというと、荒れた天候が雰囲気を盛り上げる演出にすぎないと見せかけ、真犯人のミスをつく材料になる展開に感心したかな。あと、国をまたいでアリバイを確かめに行く佐武の姿が、それこそ推理ドラマっぽくて楽しめた。


第23話は、悪人兄弟と愛人の話。
ともに悪事を成すことで兄弟愛を感じる弟、犯罪家業から足を洗おうとして弟を捨て去る兄、その二人に心を引き裂かれてしまう愛人……犯罪を続けようとする者が人間的には真っ当で、犯罪をやめようとする者が真の悪という、逆説的な構図が素晴らしい。
演出がなかなか力が入っていて、モノクロ画面を活かして黒と白の濃淡をはっきりさせた映像が印象的。開始19分ごろ、カメラを30秒近くも横に振って、延々と背景美術を見せる演出にもひっくりかえった。さすがに途中の竹林をくり返しで処理しているが、手前と奥で別々の速度で動かすことで、奥行きを感じさせつつ手抜き感を消している。