法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』を最初から見返して今さら思いついたこと

まだ最新話を見ていないが、録画整理をかねて倍速もせず見返してみた。工夫はされているが、やはり全体的に話運びが拙速という印象はいなめない。
前アニメと原作が枝別れした決定的な要素「シン国」「練丹術」が、アニメオリジナルの第1話を受けて台詞で示唆されるのはまだいい。
原作でも後々の回まで登場する小悪党ヨキが、書類写真と簡単な口頭報告ですまされるのは、さすがに省略がすぎるだろう。後で炭坑の話を語り直すなら、逆に序盤で示す必要はないだろう、見るからに尺が足りないのだから。


そこで今さら思いついたのだが、以前に省略してもいいと考えたタッカーの話を、初回へ持ってきても良かったのではないだろうか。
この話は、タッカーへ主人公が人体練成した過去を説明する場面がある。錬金術を研究する場面もある。ニーナとやりとりする場面まであり、敬意を持たせようと主人公が過去の活躍を吹聴するよう改変できる。
つまり、主人公の過去と目標を説明し、作中錬金術設定を解説し、過去の冒険物語を語る、全ての機会が存在する。作品を象徴する有名な話というだけでなく、総集編的な構成をするにはぴったりなのだ。
炭坑でヨキを倒したり、リオールを救った華々しい活躍を主人公が語り、その天才ぶりを壁越しに聞きながらタッカーの苦悩が増していく……原作の描写より、さらに重い描写にもなる。
初回の結末では、タッカーとキメラを殺したスカーと対峙し、引く。そして次回では、原作通りの展開で主要登場人物の活躍を描きながら、挫折した主人公を再起させ、視聴者へ行動動機を印象づける……こうすれば現在より3話くらい省略できるだろう。


他にも、マルコーとのやりとりを故郷へ戻った主人公が回想し、ウィンリィの両親と重ねあわせたり、展開を短縮する思いつきはいくつか考えた。
もちろん、この思いつきに問題は多々ある。主人公の行動が台詞や回想でばかり描かれるのは感情移入をそぎかねないし、何より初回から陰惨な話を見たい人はそんなにいないだろう。