法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

映像の見方、考え方

南京事件に関してネットを検索していた時、下記のような発言を見つけた。映画『ラーベの日記』に関するやりとりだ。スレッド過去ログをまとめたサイトから引用する。
http://hetawatch.web.fc2.com/60.html

20 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2009/04/29(水) 02:43:36 発信元:115.163.153.85
ジョンラーベから占領時に感謝状があったと言う話があるよね?
婦女子は無事だ・・みたいな。
でも南京虐殺肯定派はそんなものは存在しないと言う。
実際に資料って残ってるのかな?


28 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2009/04/29(水) 02:56:01 発信元:219.107.74.231
>>20
残ってるよ、東京裁判の証拠として提出されてるから。
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国際委員会の委員長ジョン・H・D・ラーベ氏は、国際委員会を代表して次のような書簡を日本軍に送っている
(「法廷証」323号=検察番号1744号抜粋で弁護人が朗読したもの、極東国際軍事(東京)裁判速記録210号)。

 
「拝啓 私どもは貴下の砲兵隊が安全地区を攻撃されなかったという美挙に対して、
また同地区における中国民間人の援護に対する将来の計画につき、
貴下と連絡をとり得るようになりましたことに対して感謝の意を表するものであります。」

 
以下は金陵大学病院医師マッカラム氏の日記及び手記からの抜粋(法廷証第309号=検察番号246号)である。
これを松井大将の弁護人伊藤清氏が東京裁判の弁護側立証段階で抜粋朗読しているので紹介したい(極東国際軍事(東京)裁判速記録・・・第210号)。

 
1、(日本軍は)礼儀正しく、しかも尊敬して私どもを処遇してくれました。若干のたいへん愉快な日本人がありました。
  私は時々一日本兵が若干の支那人を助けたり、また遊ぶために、支那人の赤子を抱き上げているのを目撃しました。

 
2、12月31日、今日私は民衆の群が該地帯から中山路を横断して集まるのを目撃しました。
  あとで彼らは、行政院調査部から日本軍の手によって配分された米を携帯して帰って来ました。
  今日は若干の幸福な人々がおりました。

 
3、(1月3日)今日は病院職員の半数の登録をするのに成功しました。
  私は若干の日本兵によってなされた善行を報告せねばなりません。
  最近7、8名のたいへんに立派な日本兵が病院を訪問しました。
  私どもは彼らに病人に与える食物の欠乏を語りました。
  今日彼らは若干の牛肉を見つけて、100斤の豆をもって来ました。
  われわれは一ヶ月も病院で肉なんか食べなかったので、これらの贈り物は大いに歓迎されました。
  彼らはわれわれに他にどんなものが欲しいかを尋ねました。
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本気でラーベを調べて南京を映画に撮ろうと思ったのなら、この辺知らないわけが無い。


40 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2009/04/29(水) 03:03:50 発信元:115.163.153.85
>>28
不平等な東京裁判で出てたのか・・。
、 でも一切、無視なんだろうね。
明らかに反日プロパガンダ映画だ。
中国は今頃、笑ってるんだろうね。

ラーベが出した“感謝状”の内容を読めば、確かに無視すべき内容ではないと思える。上記引用の発言とは全く異なる意味合いでだが。
33や142から144までの発言も困惑させられた。

33 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2009/04/29(水) 02:58:30 発信元:114.48.169.77
逃げようともせず棒立ちの中国人1万人くらいを一列に並べて
1人の日本兵が一振りのポン刀だけで走りながら次々首を刎ねていったり
満月を見たら凶暴な大猿に変身して善良な中国人(微動だにしない)を次々に踏み潰す、
みたいなトンデモ映画だったらいいのになw Over 9000!!!!!!


142 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2009/04/29(水) 07:52:54 発信元:210.153.84.184
南京の映画がドイツで受賞って…


次の大戦はドイツ&中国VSアメリカ&日本かもな…
日本さんはインドさんともっと仲良くなろう!
昭和天皇崩御された時は日本より喪が長かったらしいし。


143 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2009/04/29(水) 08:09:15 発信元:121.111.231.14
本当になぁ
日本軍が来たとき20万人の人口で
南京からいなくなったあと22万人に増えてたはず
さらに被害者が30万人とか…どんな馬鹿でもおかしいのわかるよね
中国人は殺されにわざわざ移住してきたって事か?



144 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2009/04/29(水) 08:12:09 発信元:210.136.161.79
>>143
実際に行った人から
数字が大きければインパクトがあるから正確じゃなくていい
と言われたと聞いた
向こうも正確だとは思ってないみたい

33は、ネタのつもりで自身の程度をさらけだしてしまっている。143は、最初に自分の知識こそが「おかしい」可能性を考慮すべきだろう。142の発言にいたっては、義務教育で学ぶ程度の日米開戦経緯すら理解できていないし、インド独立運動に協力してもらおうとして日本へ来たボースの失望を思えば恥ずかしくてならない。
念のため、これらが『ヘタリア』ファンの典型や平均とは限らない。2ちゃんねるという掲示板の特性を考慮すれば、極端な意見が集約され、反歴史修正主義的な意見は疎外されていることが想像に難くない。たとえば、はてなダイアリーからファン層を抽出すれば、異なる意見が並ぶだろう。
また、スレッドタイトルに「雑談」とあり、実際に他の発言内容を見ても『ヘタリア』とは無関係なものが多い。好意的に見れば、『ヘタリア』という作品とは別個に形成された歴史感覚の露出といったところか。
……とはいえ、明らかに複数の発言者が参加しており、それなりの集団が形成させていると考えるべきだろう。スレッドを眺めた限り、まともに反論や疑問を提示する者がいないことも事実だ。


そして、「ヘタリア+南京」というワードでgoogle検索してみると、87番目の発言が最上位に来ていた*1

87 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2009/04/29(水) 03:47:24 発信元:219.107.74.231
>>54
どこの国もそう簡単じゃないから仕方ない。
自分はむしろちゃんと説明してドイツと仲良くすべきと思う。
ドイツの一番弱い部分を突いて取り込んで、結果日本が孤立するなら
それこそ戦前と同じ道をたどる事になって高笑いする国ありそうだしねー。


他にも「たかじんのそこまで言って委員会南京大虐殺第二段」でのやりとりのまとめ
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シカゴデイリーニューズのスティール記者と、ニューヨークタイムズのダーディン記者です。
12月15日に南京にいました。南京というのは城壁で34km囲まれていて、高さは25メートルです。
2ヶ月間出られません。その中で陥落直前の人口は20万人。
陥落10日後の人口も20万人。人口減少を言った人は一人もいない。
陥落直前の人口は国際機関が認定した数字ですが、10日後は南京外国人会が出した数字です。
クリスマスイブの日に、ジョージ・フィッチがそう書いています。
1ヶ月後には人口は25万人。日本軍の調査で、南京の外国人がそう出すわけです。
(米国人スマイス氏の調査でも約25万人となっています)


南京の欧米人はどう見てたか。彼らは「市民重大被害日報」をほとんど毎日日本大使館に渡してるんです。
その1セットになってるのが残っているんですが、それを見ても、目撃された殺人は合法的処刑の1件だけなんです。
南京の問題を一生懸命当時の記録に従ってずっと掘り下げていくと、玉ねぎの皮と同じで、何も残らないんです。
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大体、民間人が20万人しかいない都市で、20万人助けたらどうやって30万人殺すのかと。
(安全区外で戦争してた軍人にはそりゃ死人が数万出てるので、南京から死体が発見されるのはおかしくない)


それに、記録映画とはいえ、当時の南京の映像がはっきり残ってるよ
(記録映画だけど、南京で虐殺が行われてた!って言われてる期間の南京の映像が現存してる)
http://www.amazon.co.jp/南京-戦線後方記録映画-DVD-ドキュメンタリー/dp/B0002E4H4Y


日本軍が撮ったんで、肯定派にとっては証拠にならないとされてるけど。



106 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2009/04/29(水) 04:14:54 発信元:114.181.218.118
>>87
当時の資料漁って何も出てこないのに、虐殺はあったって言われてるのか…?


なんで当時の資料に乗っている事実を認めてもらえないんだ。
他国からの調査結果があるなら、この資料の信憑性も高いだろうに。


はぁ…なんかもうなんか嫌になってきた。
別に名誉棄損とか損害賠償とかいらない。
名誉挽回出来ればそれでいいのに。

名誉毀損により高裁で完全敗訴したばかりの東中野修道を、今なお信用する人がいるだけで驚く。むろん書かれている内容は古典的で稚拙な否定論にすぎない。状況の変化に対応せず、破綻した主張をくりかえすからこそ歴史修正主義なのだ。
ここでは、破綻が明らかな東中野修道主張は横に置き、映画『南京』をどう見るべきかという話をしよう。映像や写真という表現が普遍的に持つ特性についての話だ。
ちょうど最近、『ヘタリア』話題からの派生エントリで、以下のようなやりとりをした。映像や写真といった資料の、扱い方に関わる部分を引用する。
フィクションを擁護しているつもりの人々 - 法華狼の日記

zamudo 2009/03/14 00:46

そもそも笠原十九司氏は南京大虐殺肯定論者で、著書で自論を肯定するに当たり、南京事件とは無関係な写真を悪用(誤用ではなく)した印象操作をした事実もあり、

hokke-ookami 2009/03/18 08:03

もし岩波書店南京事件』の件ならば、元の資料からキャプションが誤っていたのであって、笠原教授の意図が介在するには超常現象でも持ち出さなければなりません。笠原教授が批判されるべきは史料批判の甘さにあり、すでに誤謬も訂正されています。この場合は「悪用」の責が笠原教授にあるかのようなzamudoさんの主張こそ悪質な捏造ですね。また、もし誤謬の経緯を検証提示し訂正してなお田中正明と同程度と主張されるなら、二度も誤読したばかりのzamudoさんは比べ物にならないくらい悪質といえますね。

zamudo 2009/03/31 01:38

 学者なのに下調べもせず、誤った資料を「わざと」引用した愚考を「悪用」と責めず、超常現象説を主張されるとは、まさに驚嘆の一言です。ひいきの引き倒しとは、まさにこのことでしょう。


 こちらのサイト(www.history.gr.jp/~nanking/books_tosho_199804.html)に当時の笠原十九司氏の言が、当時の資料(岩波書店「図書」1998年4月号)から転載されております。
 これを読みますと、“江南地方の農村婦女が、一群また一群と日本軍司令部まで押送されて行き、陵辱され、輪姦され、銃殺された”云々という言葉を“日本兵に拉致される江南地方の中国人女性たち”と超訳された経緯が理解できます。


 この時点で、笠原氏が写真とキャプションが誤っていた事実に気づかず引用したわけではないことをご理解ください。
「中国語のキャプションをそのまま引用しなかったのは、写真が婦女陵辱そのものを示すものではなかったからである。」と理解し、そこからキャプションの一部(陵辱され、輪姦され、銃殺された)に誤りがある事を理解したのに、写真の来歴を疑うことなく、利用したのです。


 この時点までならまだしも誤用ですみますが、実際にはキャプションの一部だけを抜き出し、都合のよい文章に改竄したという事実も忘れてはいけません。
 それも「(受刑者・刑事被告人・被疑者の)護送」という代替語(正確ではありませんが)があるにも関わらず、「押送」という言葉に馴染みがないと、それを「拉致」と超訳した彼のメンタリティと語学力をいかように判断するのかは、それを見る側の主観で変化するのだという事実を、今回改めて強く認識することができました。ありがとうございます。

hokke-ookami 2009/04/01 01:16

zamudoさん自身も、「そのものを示すものではなかった」という発言から「一部」「に誤りがある」ことを理解した発言と解釈しています。引用者の解釈によって引用対象に情報を付記する例を、zamudoさん自身が行っているのです。あからさまな二重基準ですね。もちろん私は情報を付記すること自体ではなく、zamudoさんの解釈が誤っていることを以下で批判します。
まず、キャプションが写真以外の情報を書いていることと、キャプションに誤りがあることは異なります。たとえば、報道において用いられる犯人の写真は、多くが犯罪の瞬間を撮影したものではなく、ともすれば犯罪者になる以前に撮影されたものですが、往々にして行われた犯罪のキャプションがつきます。この場合、キャプションが誤っているとはいわないでしょう。
そしてその報道に用いられた写真を引用した研究者が、写真が実際に示していると思われる情報のみのキャプションをつけたからといって、写真の内容が誤っていると研究者が理解したなどと普通は考えないでしょう。
以上のように、写真引用元と異なるキャプションをつけることは、ごく自然なことです。写真を引用する際、キャプションも引用しなければならない必要はありません。
ゆえにこそ、押送したというだけのキャプションではなく、日本軍という強制力を持つ存在が正当性のない目的で行動していた背景を考慮して「拉致」と表現しても、当然それ自体は批難にあたりません。「悪用」でも「改竄」でもなく、もちろん「捏造」などではありません。

zamudo 2009/04/07 23:03

 解釈に関しましては、「説明はいたしましたし、これ以上は無用でしょう。」
「具体的に反する資料を示して反論された後、そう返答するだけでは、主張を放棄したと見なすしかありません。」

笠原教授が「改竄」したという主張は、キャプションと写真の関係性を理解していないことを示している。写真が常に「証拠」の主体であってキャプションは補足、という固定観念は誤りだ。むしろ、歴史研究の場において、写真や映像こそ参考資料でしかないことが多い。キャプションの補足説明として写真が用いられていたからこそ、笠原教授は写真引用にあたってキャプションから読み取れる写真情報のみを用いたのである。
映像や写真は、その一見した迫真性から、出来事の全てを写しているかのような錯覚を持たせてしまう。しかし実際には、起こった出来事の全体像を知るにあたって、証言資料に劣ることが多い。
映像や写真は出来事の一部、つまり限定された空間の限定された期間を平面的に切り取ることしかできない。これに対して、様々な場所を長期間にわたって見聞した者の証言は、ずっと多くの情報を内包している。しかも証言や文章資料は出来事の一部を切り取っていることが明白なため、切り捨てられた事実が存在する可能性を逆に想像しやすい。
これは捏造の可能性以前に、全ての映像や写真についてまわる問題だ。
映画『南京』も、南京事件が起きた空間と期間の全てを映しているわけではない。現に、カメラマンは映画が映さなかった南京事件情報を証言している*2
また、広島原爆投下直後に撮影された映像に、笑顔の少女を写したものがある*3。だからといって、現地の子供から反発されるような悲惨な結果を、原爆がもたらさなかったとはいえない。その映像では描かれていない様々な背景状況が存在すると考えるべきだし、実際に撮影から逃げた者がいた証言がある。


注意しておくが、映し出されなかったものがあるからといって、その映像に価値がなくなるわけではない。映したもの、映されなかったものを読み解いてこそ、真に写真や映像の価値を引き出せる。
米兵が撮影した原爆投下後の映像は、当時の人々が息づく様子を、原爆によって破壊された街並を、さらには撮影した米兵の心理を逆照射する。
映画『南京』も、背景状況と照らし合わせれば、より深く南京事件の実像を浮き彫りにする。入城式をとどこおりなく行うため敗残兵掃討にあせり捕虜を不法処刑した、という通説を補強する材料にもなるのだ。


上記で説明した視点を持っていれば、『NHKスペシャル』のシリーズJAPANデビュー第1回「アジアの“一等国”」が偏向しているという意見が全くの失当と理解できるだろう。
台湾人証言者は発言を意図しない形で部分的に用いられたと語ったが*4、証言者一人の意図通りにドキュメンタリーを作る義務はない。ドキュメンタリーは出来事の一部側面を制作者の主観で切り取るものだし、それは映像や写真という表現が根本的に抱えている原理だ。それを「偏向」と呼ぶならば、「偏向」のないドキュメンタリーは存在しえない。
それを考慮して視聴にすれば、「アジアの“一等国”」が植民地台湾の様々な側面に目配りされていることが理解できるだろうし*5、日本近代史のドキュメンタリーでありながら国民党の政策まで言及する注意にも気づかされるだろう*6
もちろん、証言が捏造や改竄されていたならば批判すべきだろう。不当な解釈が付記されたというなら、それも批判の対象となる。しかし「アジアの“一等国”」は証言の一部を使ったが、使わなかった部分の証言を否定したわけではない。
使われなかった証言を提示するだけでは、批判したことにはならないのだ。「アジアの“一等国”」が提示した歴史は、ゆらぐことなく依然として存在している。

*1:2009年5月8日ごろのこと。

*2:http://www.geocities.jp/yu77799/houdoukisei.html「 見たもの全部を撮ったわけではない。また撮ったものも切られたものがある」「私は揚子江でも銃殺を見た。他の場所でも銃殺をされるであろう人々を沢山見たが余りにも残酷な物語はこれ以上書きたくない。これが世に伝えられる南京大虐殺事件の私の眼にした一駒なのである」

*3:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20080807/1218150432

*4:チャンネル桜での発言を考慮すると、どこまで実際に制作者を批判しているかも疑わしいが。

*5:台湾が親日とされていることを前提にして番組が制作されている。

*6:国民党の暴虐に関する証言が採用されなかったことに対して証言者は不満を持っていたのだが、実際には番組で国民党の処刑について言及されていた。証言者がドキュメンタリー全編に目を通していたか、激しい不満をいだいていたのか、かなり疑わしい。