怪獣映画を思わせる今回のクライマックスは楽しめたが、原作とは別物と割り切らなければならないようだ。
原作は寓話性が高く、個人的には最も好きな回の一つ。藤子・F・不二雄好みの超常現象ネタから導入し、幻想的でいてSF考証のしっかりした地底世界を写し出す。そしてそのような、様々な意味で人間とは異なる領域へ踏み込み、利用しようとする人間の愚かさを批判しつつ、重すぎない結末を迎える。
しかし、原作では台詞を発さなかった地底人が、今回のアニメでは秘密道具を介して言葉をかわすようになる。言葉をかわせるようでは、人間とは異なる世界観の存在ではなく、擬人化されたキャラクターでしかなくなる。寓話らしい広がりが物語から失われかねない。
そう懸念していたら、次回予告の地底人が人間社会へ来ている描写で驚いた。どうやら原作とは全く異なる内容にするつもりらしい。
ちなみに原作の地底人は、途中からドラえもん達の保護を必要とせず、独自に成長していく。
しかし今回のアニメ版地底人は、次回もドラえもん達に保護され続けるようだ。短編版『のび太の恐竜』*1に近い雰囲気となるかもしれない。