脇役の敵が卑小に描かれているとzeroes氏が評していて*1、敵キャラクターならそれはそれで美味しいのではないかと思ったが、実際に見て少し納得した。
今川は予想範囲内でありつつも極端な影武者で笑わせてくれた。前回の川中島と同じく、主要キャラクターの因縁を生む足がかりとして、ほどよく史実が素材となっている。
しかし、前回でも何となく地味に感じていた北条は、矮小とも強者ともつかない中途半端さに仕上がっている。風魔や御先祖の力を借り、霊を自らに乗り移らせたかと思えば、あまりにもあっけなく敗北。仲間にしたかったと過去形で語りつつ同時に失望を語る武田の台詞が、北条の中途半端さを象徴している。
加えて、桶狭間戦では今川以外に印象的な敵が登場して既存キャラクターの濃さを受け止めているが、小田原城戦では武田が見せる暑苦しさと馬鹿馬鹿しさを北条側の誰も受け止めきれていない。
これならば、北条が亡霊となって異界と化した小田原城に棲みつき、それをアニメ通りに武田が浄化して、最後の歌詠みに合わせて青空に北条の笑顔が……くらいやっても良かっただろうに。原作でどう描かれていたかゲーム紹介記事以上には知らないのだが、矮小なりにキャラクターの濃さがほしかった。
現実を分解して全くの異世界を作り上げているからこそ、それなりに史実通りのキャラクター、既存物語が投影されているキャラクター、一部要素を誇張されているキャラクター、それぞれの微妙な違いで意図せず制作者の歴史感覚が出ていることが面白い。ゆえに、二重の意味で、小田原城防衛が史実より派手とはいえず、むしろ地味に描かれていたことが残念だった。史実を素材として飛躍すれば、もっと異様で巨大な小田原城を見せられただろう。それとも、ゲーム紹介記事を読んだだけの推測だが、戦闘の舞台で特異性を見せられないのは、もしかして武将が単騎で戦う原作のゲームシステムのためか……
あいかわらず見せ場を詰め込んでいて飽きないし、織田陣営が総登場するクライマックスも盛り上がったが、史実からの飛躍ぶりは前回ほど感心できない。笑えた描写の多くも、ほとんどは原作ゲーム通りのようだ。
映像面では前回以上、期待以上。
コンテ演出はIG若手の塩谷直義。第1話に続けて、あえてリアル風味の作画と、地味なコンテでバカをやっていることが独特だ。……念のため説明しておくと、地味なコンテとは、画面で起きている状況に比べて地味という意味。よく見ると、さほど奇をてらった構図は用いられていない。状況が充分に頭悪いので、普通に近い演出こそ、バカさ加減を効果的にわかりやすく見せてくれる。
原画には、松本憲生や夏目慎吾等々の、ベテランから若手まで巧いアニメーターがそろっている。今川が垂らす鼻水、石垣を馬が駆け登る背景動画、空間を広く取った飛行戦闘、忍者の動作、それぞれ特長的で面白い作画が楽しめる。特に空中戦、キャラクターのほとばしる感情をアニメで表現しきった素晴らしい作画は、『鉄腕バーディーDECODE:02』最終回を思い出す。方向性こそ正反対だが、純粋にアクションアニメとしても楽しめる。
3DCGのレベルも高い。そのままのデータで真面目な戦国物を作っても違和感が出ないだろうほど。
*1:http://d.hatena.ne.jp/zeroes/20090415/p1「格好良い武将たちは見得を切り大向こうを狙った台詞を吐き、悪役はひたすら卑小で、あっさりと死んでいく」