てっきり『マリー&ガリー』に注力しているかと思っていた松本理恵が演出。
ざわめく群集をデザイン的に処理したり、皆の笑顔を画面を埋めつくすスマイルマークで表現したり、使い回しのキャラクター作画をカツラだけ変更して画面を保たせたり、要所での節約がうまい。
様々なカツラが過去のプリキュアシリーズキャラクターや東映アニメーション作品のパロディという、大人向けのくすぐりも嬉しい。もちろん、パロディ元がわからなくても変なカツラというギャグが楽しめるよう配慮されている。
アクションに入るとここで節約した作画リソースを投入し、カツラで作られた敵ならではの特性を、きちんと映像で見せてくれる。
作画監督はプリキュアシリーズ劇場版でも作画監督を担当していた爲我井克美。全体的に作画修正が入れられていることはもちろん、日常芝居の動作も細かい。人物が歩行するカットでは左右に身体を振り、重心を感じさせる。ただし以前の松本理恵回でも同様の動きが多用されていたことから考えると、演出の指示によるものかもしれない。
物語では、コメディ主体で主人公三者三様の心情が描かれつつ、キュアピーチの心情を軸にして話がぶれない。そして正体を知らない相手から、真意を聞いてしまうという変身物の定石で落とす。定石ゆえにありきたりだが、一方だけが相手の事情を知っているというドラマは普遍的であり、ていねいに作れば古びることはない。
また、基本的には娘と父の和解劇であり、主な視聴者である女児や保護者が感情移入しやすい話なわけだが*1、敵青年も嫌悪感が出にくい描写がされており、大きな男のおともだちも感情移入しやすい作りなのがありがたかった。
ペット用カツラの克服すべき点を、脇キャラクター設定を踏まえながら解決していく展開も、プリキュアシリーズらしからぬリアリティ。コメディ主体な回だけに、不要な突っ込みどころを作らない気配りは正しい。
*1:ただ子供の目で見ると、説教臭く感じて拒絶してしまうかもしれない。