敵幹部シビレッタの退場回。
シリーズディレクターの小村敏明が連名で演出。志田直俊が原画に。
まず、アバンタイトルにおける敵幹部の対立が生々しい。グラデーションかかって質感ある影、整えることより立体を意識した描線、凶悪に変わる表情……といった作画と演出がやりとりの生々しさを盛り上げる。
続いてアラビアンナイトを題材とした展開は、小説家志望のこまちと、書籍を資料目的としてのみ扱うシビレッタの対立を浮かび上がらせる。残虐な王に物語を読み聞かせる少女の話がアラビアンナイトであり、一般に知られているアラビアンナイトの物語は作中作に近い立場……その構造を深く読み込んだ側が勝利したのだと見れば、これほど本好きを楽しませる展開もない。
戦闘では、砂漠の砂に埋もれるプリキュア達という絵面が良い*1。志田直俊担当と思われる一連の反撃も素晴らしい作画で、たっぷりと枚数を使って、カメラの視点を変えながら縦横無尽によく動く。必殺技も使い回した映像だけでなく、通常と異なる演出を加え、特別な戦闘という雰囲気を作っていた。
あと、作外の話としてプリキュア5シリーズが終了し、来年また別のプリキュアシリーズが始まるので、作中で物語が終わるの終わらないのと口論する姿が制作者の代弁かと思えて、メタ視点で面白かった。
*1:作画の手間も省ける。