法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『日本の、これから』裁判員制度がはじまる 今夜とことん考えます

〜とことん考えていないよね〜
白鳳大学の土本武司氏が、無期刑は10年で仮釈放されると説明し、実質的に10年の懲役にすぎない主張。この誤謬を誰も批判せず。この辺りで番組全体への信頼感を失った。
最近も報道されたばかりだが、ここ10年間の無期懲役刑は、仮釈放者79人に対し、獄中死者が120人。今も獄中にいる受刑者数を考慮すれば、仮釈放者の比率はさらに下がる。
しかも仮釈放された例だけで見ても、20年以上かかった人が半数を超える。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081129-OYT1T00115.htm

 法務省は28日、無期懲役判決を受けて服役している受刑者(無期懲役囚)に関する仮釈放申請の許否などの調査結果を公表した。

 1998年から2007年の10年間にあった114件の申請中、仮釈放が許可されたのは74人で、許可までの入所期間は20〜25年が半数以上を占めた。

 同期間に刑事施設で死亡した無期懲役囚の数は120人だった。また、刑法では無期懲役の場合、10年以上の服役で仮釈放が可能になると定めているが、実際には半数以上が仮釈放までの最短期間の倍以上を要していることになる。調査結果は、「死刑と無期懲役の差が大き過ぎる」などとして仮釈放のない「終身刑」の導入を求めている一部の国会議員の動きに影響を与える可能性もある。

 調査では、仮釈放の許可は74人、不許可は35人、決定が出るまでに死亡するなどした無期懲役囚は5人だった。許可を受けた無期懲役囚の入所期間は20〜25年が42人(57%)と最多だった。
(2008年11月29日01時37分 読売新聞)



さらに光市母子殺害事件裁判が約10年間の長期にわたったことについて、裁判員制度なら短期間で終わったのかと質問した一般人に対し、控訴された事案なので一審だけの裁判員制度は関係が薄いという回答しかなかったことも浅さを感じた。一審分だけでも短くなったのかという質問もされたが、それには具体的な回答すらない。
光市母子殺害事件裁判で、最も時間がかかったのは最高裁が原判決を差戻した際の4年間。一審は1年間もかかっていない。
長期にわたる裁判に対し、今用意されている裁判員制度では、さほどの迅速化は期待できないだろう。


広まっている誤謬、具体的な有名事件、それを説明するための資料をそろえていない不手際が目立った。
議論のしきりも悪く、あまり感心できない番組だった。