〜面白かったが、記憶を無くしたヒロインとすれ違うラストは、いいかげん前世紀に葬ってほしい〜
アミノテツロー監督、大川俊道脚本。
見ている間ずっと大林監督版『時をかける少女』が脳裏をちらついていたが、主題歌が原田知世だったところを見ると、制作者も意識していたのかもしれないな。
作画でいえば、ここ数年では最高。予告では、力つきて止め絵が多くなっていた中盤の映像が使用されていたこともあり、意外ながんばりに驚いた。
ほとんどがメカデザインおよび作画監督の一人を担当した鈴木藤雄の力だろうが、映像を見ているだけで2時間を楽しめたのは『ワルサーP38』以来だと思う*1。特に冒頭は、20分近くもテンションを保ってデフォルメの効いたアクションが展開されていた。カーチェイスや水上戦と舞台も多彩。終盤には作画が復調し、ヘリコプター1機が暴れまわってクライマックスを飾った。
原画は他に田中ちゆき、兵藤敬、阿部美佐緒といった名前が目についた。
変に大上段にかまえることなく、記憶消去を軸として脚本がぶれず、話が散漫にならなかったのも良い。
ルパン三世シリーズに特筆される名作とまではいかないが、娯楽性の高い小品としてよくまとまっていた。現状におけるルパン三世の制作体制から考えると、最善策だったのではないかと思う。
*1:作画枚数や全体の制御では『天使の策略』もそう悪くはなかったが。