法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

作画オタがアニオタの彼女に作画アニメ世界を軽く紹介するための10本

アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本が元ネタ。
作画アニメを10本ずつ著名アニメーターが提示するという企画が実際『WEBアニメスタイル』であるわけだが……

まあ、どのくらいの数の作画オタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、
「作画オタではまったくないんだが、しかし自分の作画オタ趣味をアニオタ的に黙認してくれて、その上で全く知らない作画の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」
ような、作画ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、作画アニメのことを紹介するために見せるべき10本を選んでみたいのだけれど。
(要は「WEBアニメスタイル」の正反対版だな。彼女に作画アニメを布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴う3クール、4クールのアニメは避けたい。
できれば劇場版アニメ、長くても2クールにとどめたい。
あと、いくら作画アニメ的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
特撮好きが『原子怪獣現わる』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は

スタッフ知識はいわゆる「クリエイター」的なものを除けば、アニメディア程度は見ている
サブカル度も低いが、頭はけっこう良い

という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。


新世紀エヴァンゲリオン
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「庵野以前」を濃縮しきっていて、「磯以後」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。爆発も2種類だし。
ただ、ここで作画トーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
この技法過多な作品について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、作画オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。


妄想代理人』、『映画ONE PIECE オマツリ男爵と秘密の島

アレって典型的な「作画オタクが考えるアニメオタクに受け入れられそうな作画(そう作画オタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのもの

という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「作画オタとしてはこの二つは“アニメ”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。


プラネテス
ある種の作画オタが持ってる無重量アニメートへの憧憬と、谷口監督のオタ的な作画修正へのこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにもな
「ライトオタ的なカッコよさ」を体現する中田栄治
「ライトオタ的に好みなキャラ」を体現する千羽由利子
の二人をはじめとして、作画オタ好きのするカットを毎話にちりばめているのが、紹介してみたい理由。


SAMURAI7
たぶんこれを見た彼女は「The八犬伝だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
この系譜の作品がその後続いていないこと、これがアメリカでは大人気になったこと、アメリカならアフロサムライになって、それが日本に逆輸入されてもおかしくはなさそうなのに、日本国内でこういうのが作られないこと、なんかを非作画オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。


『映画ドラえもん のび太の恐竜2006
「やっぱりアニメは子供のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「河童のクゥと夏休み」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかける渡辺の思いが好きだから。
断腸の思いで抑えに抑えてそれでもキャラが違う、っていう作画修正が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「演技する」ということへの諦めきれなさがいかにもアニメーター的だなあと思えてしまうから。
のび竜2006の作画枚数を俺自身は使い過ぎとは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが福富や芝山だったらきっちりレイアウトコントロールしてしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて枚数を使ってしまう、というあたり、どうしても「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえ渡辺がそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じ得ない。作品自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。


『太陽の王子 ホルスの大冒険』
今のアニオタで東映動画見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
コナンよりも前の段階で、宮崎や大塚のアニメ技法はこの作品で頂点に達していたとも言えて、こういうクオリティの作品が労働運動していた時代にかかっていたんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくアニメーター好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆる宮崎駿監督作品でしか宮崎を知らない彼女には見せてあげたいなと思う。


『御先祖様万々歳!』
押井の「目」あるいは「絵づくり」を作画オタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「終わらないOVAを毎日見る」的な感覚が深夜アニメには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそ『創聖のアクエリオン異世界はうつのみやさとる以外ではあり得なかったとも思う。
「祝祭化したサプライズを生きる」という作画オタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「作画オタクの気分」の源はうつのみやキャラデザインにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。


ユンカース・カム・ヒア
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういうアートアニメ風味の大平晋也パイロットをこういうデザインで映画化して、それが非作画オタに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。


桜蘭高校ホスト部
9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的に藤岡ハルヒを選んだ。
ガイナから始まってボンズで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、YOUTUBE以降の中村豊MAD時代の先駆けとなった作品でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。