法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『「闇」へ』民主主義〜世界10人の監督が描く10の疑問〜

33カ国の報道局、各国の映像作家による「民主主義」を主題としたドキュメンタリー連作企画の一作。米国が今この時にも続けている、グアンタナモ拷問の実態を描く。アレックス・ギブニー監督。
1月にもNHK総合深夜で放映していたのだが、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門受賞を浮け、放映時と同じ短縮版が監督インタビューを付けて再放送。深夜放映時に見逃していたので、個人的にありがたかった。


拷問の「定義」を細かく問い返すことで、ジュネーブ条約違反ではないと言い張る米国閣僚は醜悪だ。他の戦争犯罪でも見られる、普遍的な醜さ。
映画の結末、拷問で上層部が責任を問われなくなる法案を通過させてみせたブッシュ大統領。さすがゴールデン・ラズベリー賞主演男優賞を受賞するだけあって、飛びっきりの笑顔を見せる。
拷問を実行に移した兵士や憲兵は処罰され、彼らに直接命令を出した責任者は罪に問われず、さらに責任者に命令を出したという上官は特定すらできない。
グアンタナモ収容所の拷問はまだ続くだろうし、たとえ閉鎖しても今のままでは別の収容所が作られるだけなのだろう。