法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

歴史探偵、靖国神社に電凸する

ダイヤモンド社から2006年12月14日に出版された『愛国者の条件』。元『文藝春秋』編集長で作家で歴史探偵な半藤一利氏と、大和ミュージアム館長の戸高一成氏の共著。二人がまず巻頭で対談し、残りの章を交互に執筆するという形式。保守派から軍国主義や愛国教育、『美しい国』へ苦言を呈するという内容が、なかなかひねくれていて面白い。


そして半藤一利氏が担当する第一章では、「分祀は教義上も可能なはず」という小見出しがある。
分祀が可能とする根拠として、半藤氏は興味深い話を紹介してくれた*1

 以前、靖国神社に電話をかけて、こう尋ねてみたことがあります。
「失礼なことをお伺いしますが、戦後復員された横井庄一さんと小野田寛郎さん。きっと一度お祀りされたと思うのですが、復員された後はどうなったのでしょうか?」
 すると相手も「えっ?」と驚いたのですが、調べていただいたところ、名簿から剥がしましたと言うんですね(一説にまだ合祀されているともいいますが、電話の人はたしかにそう言いました)。
 これはどういうことかというと、一度合祀された人であっても、分祀は可能だということなんでしょう。
 さて、ここから先は「歴史探偵」としての推測話になってしまいますが、おそらく分祀されたのは横井さんや小野田さんが初めてではないでしょう。

何か重々しい儀礼をやったのですらなく、名簿から剥がしたという安易な回答に驚愕爆笑してしまった*2
ちなみに祀られた後に生きていると判明した例は、最近でも朝鮮出身兵士の抗議などで明らかにされている。もっとも、こちらは靖国神社側が名簿から削除することを拒否しているわけだが……

*1:37頁より、フリガナや文字サイズ変更は引用せず。

*2:話そのものは、どこかで見たおぼえがあるのだが、半藤氏の調査によるものだったか。