法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

竹田プロデューサーの立ち位置は面白い

MBS放送局プロデューサーに竹田青滋竹田菁滋)なる人物がいる。
TBS系アニメの局プロであること、局プロなのに制作や企画に一枚かんでメディアにも露出して目立つこと、時事的な社会派問題を積極的に取り入れることから、ネットでは左翼扱いされている。
そのおかげで、2ちゃんねるのアニメ漫画業界板に以下のスレッドがある。
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/iga/1160393537/
“左翼”がアニメ制作に関わっていたらどうなったか、というネタスレだが、逆にネタを書く者の左翼観が浮き彫りになって面白い。

47 :名無しさん名無しさん:2006/12/30(土) 00:02:52
NANA

もっと煙草臭くなりそうだ。

これにいたっては、どういう考えで生まれたネタなのかわからない。左翼が特に煙草好きとは思えないし、竹田PDからみの作品で煙草が前面に出ていたものも思い出せない。


さて個人的には、竹田PD自体は嫌いではない。社会派的な要素を作品に取り入れることは望むところであり、放送規制をゆるめてくれるのも歓迎している。できるだけゴールデンで長い話数を用意するのも、良いことだろう*1
そして、作品の全てが竹田PDの意図によるものかというと、もちろん違う。たとえば『天保異聞 妖奇士』は、題材こそ飢饉をきっかけとした子捨てや食人、生きづらさを抱えた遊民、歴史に抹消された民族を取り上げているが、映像では激しい流血や直接的な死体などを見せず、暗示するにとどめていた*2。竹田PDは、あくまで規制をゆるめたり助言したりするだけで、越権的に残酷描写を指示しているわけではない。


そんなこんなで竹田PDが、幼女を父親が人体実験に使う『鋼の錬金術師』の水島精二監督と再び組み、殺人レイプ何でもありな『無限のリヴァイアス』の黒田洋介をシリーズ構成に迎えて、『機動戦士ガンダム00』を制作中という話*3

*1:ただ結果として、制作者が時事にうといのに無理に取り入れて作品が空中分解しそうになったり、若手監督に自由にやらせた結果として内容が散らかったりと、個々の作品には素直に誉められないところも多々。

*2:ちなみに監督の錦織博は、『ガドガード』という作品で、男子を性的に引き付ける手法として女性の下着を見せることを徹底的に禁止したことがある。監督の作風として直接描写を好んでいないようだ。

*3:鋼の錬金術師』も『無限のリヴァイアス』も佳作ではあったと思う。前者は劇場版まで見ないと完結した感が足りないこと、後者は感情の行き違いを散々書きながら結末が温和すぎるという不満がそれぞれあるが。