アニメ脚本家の桶谷顕(おけやあきら)氏が亡くなられた。
数年前から末期ガンで闘病しながらも、つい最近まで脚本業を続けていたのだが、48歳の若さで去ったという。
名前は知らなくても、藤子マンガ原作アニメや、『かいけつゾロリ』、NHK教育でも見られた『だいすき!ぶぶチャチャ』など、手がけた子供向けアニメを一度は目にしたことがある人が多いだろう。特に『ぶぶチャチャ』は、アニメを子供に見せたい大人が、説教臭くせずに子供が見たがる内容にしようと徹した、隠れた名作だ。
十代向けのロボットアニメ脚本でも名を残しており、『機動武闘伝Gガンダム』『機動戦士ガンダム第08MS小隊』『トランスフォーマーマイクロン伝説』『ゼーガペイン』等々がある。
少女向けにもアニメ版『コメットさん』という佳作があった。玩具の売れ行き不振ゆえ残念ながら打ち切りとなったが、魔法で安易に物事を解決しない実直な物語がさすがと思わせた。
どれもネタに逃げない堅実な作りで、鬱々とした描写に落ち込まず、登場人物を障害に真正面からぶつからせる物語が印象的。今になって思うと、病気と闘いながら脚本業を続けていた脚本家自身の心が反映されていたのかもしれない。