法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

調査捕鯨の増額について

震災復興予算を使うことで調査捕鯨の予算が従来の6倍にふくれあがったという。
http://www.47news.jp/CN/201112/CN2011121401000924.html

 予算要求した水産庁は、全国有数の捕鯨基地の宮城県石巻市が大きな被害を受けたことを理由に「調査を安定的に実施し、石巻周辺の復旧・復興につなげる」とするが、被災地への支援といえるのか疑問視する声が出ている。

なぜ調査捕鯨なのか、そもそも増額する必要があるような調査状況の変化があったとは思えないし、震災復興にしては対象が狭すぎないかと疑問を持つところ。
この疑問視を整理して、現在の調査捕鯨を批判する地方新聞のコラムがあった。タイトルからして辛辣な内容だ。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/chijiku/ren018201112167256.html

 どさくさ紛れ。悪知恵。火事場泥棒。何と表現していいのやら。混乱が続くさなかでの恥知らずな行為である。しかもその混乱が東日本大震災とあっては、乗じる側の姿勢さえ問われる▲
 個人の事ではない。れっきとした国家政策の話である。第3次補正予算に、南極海での調査捕鯨経費として約23億円が計上されたという。当初予算と合わせて約30億円なり。最大で、過去の予算規模の6倍にも上るという▲
 予算要求した水産庁の話。「調査を安定的に実施し、石巻周辺の復旧・復興につなげたい」。むろん、石巻市は全国有数の捕鯨基地ではある。だが、市内の鯨肉加工会社は被災し操業停止。捕鯨会社も船を流されたという▲
 せっかくの「超大幅増額」なのに、加工会社復旧など被災地のインフラ整備は対象外。「整備されても鯨肉がなければ、加工食品は作れない」と水産庁。「商業捕鯨を復活させることが復興になる」と臆面もなく述べる。全く、順番が逆だろう▲
 調査捕鯨を受託する日本鯨類研究所などは先日、妨害行為を行う団体相手に米国で提訴した。妨害対策にも税金は使われる。それも復興予算? やはり、そんな理屈は通るまい▲
 捕鯨の是非以前の話だ。堂々と「被災地支援」と言う心根が悲しい。被災者が捕鯨継続のために利用されたとするならば、罪深い。そして、捕鯨史に刻まれる汚点となる。

調査捕鯨自体を批判しているわけではない。補助金漬けになっている一次産業を批判する一環と読むべきだろうか。
ただ、捕鯨へのいびつな過保護ぶりが突出していることは確かなようで、それが復興予算を取るという形で表出したという指摘として意味があることも確かだろう。