法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

2008-08-25から1日間の記事一覧

『ボトルネック』米澤穂信著

自分が生まれていない並行世界に落ちた主人公が、恋人が死んだ謎を追う話……という要約は、少しばかり誤りかもしれない。ともかく、主人公の世界と並行世界との齟齬が推理の糸口となる、特異設定を導入するタイプのミステリ。 一つ一つはたあいもない「日常の…

『名探偵 木更津悠也』麻耶雄嵩著

白い幽霊が出没する地域における、四つの不可能犯罪からなる連作短編集。 とりあえず正体は棚上げにして、白い幽霊に対する人間の反応を考慮し、探偵が事件を読み解いていく。西澤保彦作品のような、SF設定を取り入れたミステリに近い手ざわり。 名探偵の事…

『裁判員法廷』芦辺拓著

本書は、二〇〇九年施行の裁判員制度をとりあげた、おそらく本邦初の小説集です。 (あとがきより) すでに施行の準備が進んでいる裁判員制度を題材とした連作ミステリ。 『裁判員法廷二〇〇九』を改題した『審理』の初出は2006年4月号の雑誌、『評議――裁判…