法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

対象者があえて蔑称を自称的に用いることで表現の意味を変化させて蔑視に抗う事例のメモ

クイアとは - コトバンク

本来の語義は「奇妙な」で、かつては日本語の「変態」に近い否定的な意味で使われていたが、アメリカでは1980年代末ごろから、性的マイノリティがこの言葉を自らに対して肯定的に使い始めた。マイノリティが自分に投げつけられる侮蔑語を逆用して新たな意味に転じさせた注目すべき例である。

JAP(初回生産限定盤)(DVD付)

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マッドハウスの制作進行がブラック企業ユニオンに参加したとの報

最初にツイートしている代表作は、生え抜きの監督によるものではなく、東映出身の監督による十年以上前の2作品だが、日テレとの関係の深さを象徴するタイトルでもある。



マッドハウスは日テレの子会社化もしているわけだが、ソニー傘下のアニプレックスが2005年に新興した制作会社A-1 Picturesも、2010年に制作進行が自殺して労災認定された。アニメ業界の外の大手企業の傘下になっても環境の改善ができないことは残念きわまりない。
しかし、業界全体が構造的に問題をかかえている時、問題が表面化するのは相対的にマシなところからという場合もある。あまりにも余裕がない労働者は、新たに労働組合に参加したり立ちあげたりすることが難しい。この事例も、良くも悪くもそうなのかもしれないという可能性を留意しておきたい。

『走れメロス』の結末をふりかえりながら妥当なビジュアル化を考える

太宰治 走れメロス|青空文庫

佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
 勇者は、ひどく赤面した。

つまり上記の描写を想定して、登場人物の姿を想像してみる。

走れメロス 新装版 (講談社青い鳥文庫 137-2)

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走れメロス/くもの糸 (10歳までに読みたい日本名作)

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走れメロス 女生徒 (まんが日本の文学)

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走れメロス 朗読CD付 (海王社文庫)

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ならべてみると海王社文庫のガチムチっぷりが突出している……


実のところ、海王社文庫のみ高年齢女性向けに古典をパッケージングした作品のひとつであり、児童向けにアレンジした他と印象が異なるのは当然だったりする。
文章の印象をおぎなったり、異なる意味をつけくわえる挿絵の良し悪しは、パッケージのコンセプトと照合しながら評価すべきところだろう。


ちなみに私としては、おおすみ正秋監督*1によるアニメ映画が、独立した作品としても完璧だと考えている。

【映画チラシ】走れメロス

【映画チラシ】走れメロス

ずっとDVDかブルーレイで出してほしいと願っているのだが、いまだかなわない。数年後に『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』へ参加するような、そうそうたるアニメーターが参加した映像は、最新技術でリマスターする価値がある。
全体としてハードにアレンジされた物語も好ましい。特に、権力者が他人の献身ですぐ心変わりするような原作の甘さがなく、こまごまと時代の限界を描ききったところが良かった。

*1:TVアニメ『ルパン三世』第1期の前半を監督。

『世界まる見え!テレビ特捜部』祝! まる見え29周年 春のお笑い怪獣祭りミステリークイズSP

明石家さんまをゲストに呼んだ、恒例の2時間SP。しかも元号がきりかわるということで、ビートたけし所ジョージもふくめた3人の平成エピソードを年表をつくってまで総ざらい。


3人それぞれの俳優としての活動は興味深い。普段はNGを出さない田村正和がたまたまNGを出して、それを知らずに煽った明石家さんまが周囲に心配されたが、田村自身は鷹揚に許したエピソードなどは良かった。
しかし不祥事にも堂々と言及するのはいいといて、ビートたけし明石家さんまもドン引きするしかない行動が多すぎて、本当に性的な感覚は世代ごとで大きく変わるのだなと思うしかなかった……


「空から見たミステリー」は、文字通りに高空からの奇観を雑多に紹介。オーストラリアの巨大地上絵「マリーマン」なるものを初めて知ったが、なるほどgoogleMAPの航空写真で見るとスケール感が狂うほどの大きさにビックリする。番組では近所の亡くなった芸術家が作者という説を有力視していたが、第三者に発見されるまで知られなかったとすると、限りなくアウトサイダーアートに近いのかもしれない。検索してみると、BBC記事ではもう少し突っ込んだ情報がいくつかあるが*1、やはり正体は不明らしい。
「世界の摩訶不思議な事件簿」は、2009年に米国ワシントン州の海岸にうちあがった水鳥の死体群や、1999年にコロラド州で畜牛の死体が損壊していた謎、濃厚と牧畜で砂漠化したカルムイク共和国や、さらに北極圏にありながら砂漠化しつつあるロシアのショイナ村などを紹介。
水鳥の死体は赤潮プランクトンが出す粘液により、羽の油脂が洗い落とされて、水面に浮かべなくなったという真相。一種の天災に近いが、もしもプランクトンが海鳥の死体を食べるため定期的に粘液を出せるよう進化していたなら……などというSFじみた想像をした。
コロラド州の死体はいわゆるキャトルミューティレーションで、UFOが疑われたり、政府が狂牛病の極秘調査をおこなっていたという推測が語られるが、やはり猛禽などが食べた痕跡というのが真相だろう。
ショイナ村はクイズだったが、カルムイク共和国と同じく人災。底引き網をやりすぎて、海藻が失われてしまい、砂があがってきたというもの。私個人の仕事の関係で、共感せざるを得ない話題なのだが、さりとて私個人が何かできるわけでもなく。
他に1991年にアルプスで見つかったミイラ「アイスマン」の周辺で怪死が連続したり、現代のハイチでゾンビとされる人が存在する風景も紹介。しかし前者は発見から怪死まで何十年もかかっているし、数百人がかかわった発掘でそれくらいの死者が出てもおかしくはない。後者は、たしかに社会的にゾンビとされる人々がいる風景は興味深かったが、ゾンビを作る有名な食材をクイズにしてしまったため、あっさりゲストが解答してしまうというオチ。
「ネットで出会った彼の正体は??」は、いつものキャットフィッシュではなく、有名な結婚詐欺師の逸話。さまざまな女性に結婚をにおわせて、疑いがかけられそうになればMI6やCIAと称して偽の書類を用意したり偽電話をかけたり。クヒオ大佐を連想したが、それを知って真似したという感じでもなく、単に結婚詐欺師の手口は似ていくということなのか。

『ガンダム誕生秘話』

NHKで3月30日に深夜放送されたドキュメンタリー。1979年の初代『機動戦士ガンダム』の制作準備から制作中にかけての記憶を、関係者の証言にそって構成する。
www.nhk.or.jp
直後に予告が流れたように、NHKで地上波放映がされる『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の宣伝をかねた番組なのだろう。
www.gundam-the-origin.net
かたちを変えたり危機がありながらも現在までシリーズがつづいている人気作品だけあって、さすがに過去から何度となく語られた情報が多いが、だからこそ後に衝突をくりかえした人々が穏やかな語り口で思い出を語っている姿に、現在に制作したドキュメンタリーならではの面白味を感じた。
特に、多忙な富野由悠季が入院中の安彦良和を毎週見舞いにきたという思い出や、富野が自作について基本的に好きと語る最後のコメントは、両者の確執や富野の自作嫌悪を何度となく聞いてきたファンこそ思うところがあったのでは。