法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

統一協会の関連媒体へ記事を掲載させている政治家や研究者は反省してほしい

いまだ与党の重鎮議員として影響力をもっている安倍晋三氏がイベントで演説をおこなったりと、ここ最近に統一協会*1の話題を見かけるようになった。
dailycult.blogspot.com

9月12日、韓国の教団施設から全世界に配信された統一教会(天の父母様聖会世界・世界平和統一家庭連合)フロント組織『天宙平和連合(UPF)』の大規模集会に安倍晋三内閣総理大臣がリモート登壇し、教団最高権力者・韓鶴子に阿る基調演説を行った。


よく表現関係で話題になる与党議員の山田太郎氏も、知ってか知らずか統一教会フロント団体のイベントに参加していたことが話題になっていた。


セミナーの案内を見たら、日本側登壇者として、音喜多駿氏のみならず山田太郎氏の名前もありますね。
https://washingtontimes.jp/wp-content/uploads/2019/11/JUIS2019_1108.pdf

引用されている画像を見ると、消滅したみんなの党*2で代表をつとめていた渡辺喜美氏らもイベントに登壇している。
当時の山田氏はみんなの党から維新の会をへて、イベントの半年ほど前に自民党に入ったばかり。以前からのつきあいで行ったのかもしれない。
ただ弁護士の山口貴士氏による釈明は、過去のツイートと比べて奇妙に思える。一般市民*3が記事を紹介しただけでも責任はあるが、政治家がイベントに登壇した責任はいっそう重い。


ワシントンタイムズと統一協会の関係について専門家として御助言したところ、山田太郎議員からは「統一協会と関係あると知っていれば、参加しませんでした。その後、この団体とは付き合いはありませんし、今後も付き合うつもりはありません。」というお返事を頂いております。


ん?渡辺真由子先生が統一協会系メディアの世界日報の記事を紹介している。
エロマンガ憎しのあまり、統一協会勝共連合)とフェミニズムの野合がみられるのかな?


こうして再注目されている統一協会だが、朝鮮半島地域研究者の木村幹氏によると、韓国内での影響力は落ちているという。


統一教会に拘る人、結構いるけど、韓国内では昔のような大きな影響力はなくなってるよね。ビジネスも成功しているようには見えないし。
こういうのも、日本の韓国に対する見方が90年代くらいで止まっているのを示す例かも。

少し気になるのが「韓国内では」と限定していること。文章を素直に読めば、反共保守の宗教団体として日本国内で影響力を残していることは否定していない。
くわえて気になる指摘として、統一協会関連団体「世界平和アカデミー」の季刊誌である世界平和研究に木村氏の記事が掲載されているという。


ところでカンキムラ先生といえば「世界平和研究」224号に論文を掲載していることが注目されますよね 日本学術会議より世界平和教授アカデミーな「研究者」 http://pwpa-j.net/journal/back_n

バックナンバーを見ると、「地域研究」テーマのひとりとして記事がのっている。
世界平和研究バックナンバー

日韓関係をどうみるか
 ─社会構造の変化と新たな関係再構築に向けて─

一般社団法人「平和政策研究所」のサイトに転載された文章と同一だとすると、「(2019年9月30日に開催された「新時代の日本を考える兵庫フォーラム」IPP共催の研究会における発題内容を、その後の状況の変化を一部入れて再整理して掲載)」とのこと*4
ippjapan.org
しかも掲載は一度きりではない。227号でも「韓国とどう向き合うか」テーマで名前がある。
世界平和研究バックナンバー

変容する韓国社会と日韓関係
 ─「ウェット」な関係から「ドライ」な関係へ─

やはり「平和政策研究所」のサイトに転載された文章と同一だとすると、こちらはインタビュー記事だったようだ。
ippjapan.org
ちなみに2021年5月にも「平和政策研究所」のサイトに「(2021年3月20日に開催されたILC研究会における発題内容を整理して掲載)」*5として記事が掲載されている。
ippjapan.org
念のため、「平和政策研究所」の代表理事*6である林正寿氏は早稲田大学名誉教授の経済学者だが、統一協会のイベントで歓迎のあいさつを担当するくらいの立場だ。
unificationnews.jp

大塚克己先生の開会の辞、リトルエンジェルスの平壌公演の映像上映に続き、林正寿・早稲田大学名誉教授が歓迎の挨拶を行いました。

他に理事の梶栗正義氏はUPF-Japan会長で、つまり安倍氏が講演したフロント団体の日本支部長だ。
元駐オーストラリア大使の上田秀明氏も理事だ。日本の自白偏重を国連で批判されて「シャラップ!」と反駁したことで悪名高い*7


「世界平和研究」に記事が掲載されている研究者は木村氏ばかりではなく、篠田英朗氏や熊谷奈緒子氏*8などの名前もある。
背後関係を知っていても知らなくても、記事が掲載されただけでも研究者としては問題だろう*9。記事そのものは妥当な内容でも、それはそれで背後組織の宣伝になりかねない。
政治家も研究者も、脇が甘いならば反省すべきだろうし、理解して協力しているならば悪質だ。反省してほしい。

*1:現在は 世界平和統一家庭連合に改名。統一教会という表記は批判的な意図でさけている。

*2:現在の渡辺氏は立花孝志氏と共同で同名の政治団体を立ちあげている。

*3:ただし批判的に言及されている渡辺真由子氏は研究者である。また、ここで批判されている以前に論文での剽窃が明らかとなり、博士号が剥奪されている。 mayumedia.blogspot.com

*4:「IPP」は「平和政策研究所」の略称。はてなブックマークを23users集めながら、統一協会との関係を指摘するコメントがないところが悩ましい。 b.hatena.ne.jp

*5:この「ILC」は、おそらく統一協会主催の国際会議「国際指導者会議」のこと。

*6:ippjapan.org

*7:www.huffingtonpost.jp

*8:こちらの読書会で批判されていた印象が強いが。 readingcw.blogspot.com

*9:記事内で発表媒体を批判するなどすれば、許容されうることもあると思うし、まったく関係ない場所で発表した文章が利用されたなら話は違ってくるが、木村氏の記事はそうではなさそうだ。